一日千秋

harimaya2011-10-28

どくとるマンボウの愛称で人気を集めた作家・北杜夫さんが
亡くなられたが父上の詩人斉藤茂吉が若い頃に恋人に宛てた
ラブレターの一節を思いだす「お手紙いま頂きました。実に
一日千秋の思いで、三日間の忍耐は三千秋ではありませんか。
ふさ子さんどうか、お願いだからハガキでいいからください」
一日千秋の思いと云うように一年を一つの季節で代表するのは
昔の人は実りの秋が愛しかった。それでも秋は物憂いの季節・・
親しい人や恋人に思いを寄せるのはこの時期最もふさわしい。
ネット社会は一日千秋を死語にしてしまったがメールは一瞬のうちに届き感情も無く
携帯はところかまわず掛かってくる。一日どころか一時間も待てない社会に変わった。
意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっと待つしかないもの、などなど
そういうものへの感受性をいつ失くしたのか、一日千秋の思いを過ぎた秋の日々を想う。