隠居の独り言(1030)

NHK大河ドラマ平清盛」の評判があまり芳しくない。理由として考えられるのは
1、京の平安末期の時代背景が難しいのでドラマの中で分かり易い解説が望まれる。
2、役者の衣装や景色が汚すぎる。歴史考証に沿ったのだろうが観衆の目も大切に。
3、感情の表現で役者がやたら叫んだり怒ったりで言葉の意味がよく聞き取れない。
4、清盛の松山ケンイチ始め歴史上の人物の抱いたイメージに合った役者が少ない。
5、物語をもっとシンプルに描けばいいと思うがあれもこれもと欲張り過ぎている。
6、一族を大切にした平家と親兄弟でも殺戮しあった源氏との違いを出してほしい。
7、飽食の現代で飢えに苦しむ平安末期の庶民を描くのは難しいがそこは腕だろう。
日本史における人物で人気のあるのは源義経織田信長坂本竜馬西郷隆盛等で
共通するのは、あまり恵まれない出自、彗星のごとく登場、時代を動かす華々しい活躍、
悲劇的な死、「永遠の若さ」の存在などで英雄の条件は最後が悲劇でないといけない。
逆に言えば義経の後に体制を築いた源頼朝、信長の日本統一の後の徳川家康、竜馬や
西郷の後の大久保利通木戸孝允の印象は誠によろしくない。外国だってキューバ
カストロよりチェ・ゲバラのほうが人気が高いのは古今東西判官びいきは変わらない。
本来なら平清盛も英雄の条件を満たしているのだが人気が無いのは地位と栄華を極め
後に平家が源氏に倒されたため歴史上の悪役にされてしまう。でも鎌倉幕府を開いた
源頼朝より遥かに大きな事業を成し遂げているはずなのに、歴史観とは実に分らない。
大河の中で「平清盛」を選んだ企画が素晴らしいだけに出来栄えがこれでは勿体ない。
ドラマ8回は、宋から運ばれてきた貴重な品々が並ぶ博多の市に清盛達はやってくる。
大宰府を通さなければならないはずの宋との貿易が自由に行われていることに驚くが
家貞(中村梅雀)は忠盛(中井貴一)が朝廷を通さず密貿易をしていることを清明かす。
一方、京では藤原忠実國村隼)の次男・藤原頼長山本耕史)は内大臣に昇格するが
何事にも妥協をゆるさない頼長が内大臣となったことで混乱した朝廷がさらに乱れる。
頼長は都の市で清盛配下の海賊・兎丸(加藤浩次)が宋の品々を商売していることから
平氏が密貿易をしているのではないかと見抜き清盛を屋敷によびつける。頼長の問いに
清盛はこの国の仕組みが間違っていると言い宋銭を見せながら豊かな宋の国を手本に
するよう進言するが・・・