隠居の独り言(1034)

会社の二階で日々の支払いの帳簿付けをしている最中にマグニチュード9,0の
史上最大級の大地震が東日本を襲った。背後の本棚からは本や書類は崩れ落ち
二階は事務所兼倉庫なので棚上の商品や生地類が床の上に滅茶苦茶に散乱した。
三、四階に住んでいる娘たちの部屋はサイドボードや家具が倒れて中にあった
飾り物や食器類などの割れ物の殆どが損傷して使い物にならなくなってしまう。
3月11日金曜日、午後2時46分「ついにきたか」と命も観念した揺れだった。
東京は震度5強というが体に感じる激震は数字とは掛け離れた恐ろしさが襲う。
向かいのお宅は木造家屋で今にも倒れそうに右に左に揺れている様は恐怖感と
人の悲鳴で見ていられない状況で地震の揺れも長く続いて余震もしばしば起き
生きた心地のしない人生初めての体験だった。自宅に電話やメールを入れても
全然通じず自分のみならず人々は不安をかきたて都会の中といえ孤立感が募り
ラジオやTVを付ければ何処の放送局も災害一色で埋められている。未曾有の
地震なのだから当然といえば当然だが勤め人は早めの帰宅という事で道路は
自宅に急ぐ人々で溢れ自動車も渋滞で前に進まない。震源地に近い東北三県の
太平洋沿岸では地震津波の猛威で市町村の何もかも呑みこみ長年築き上げた
人間社会を根こそぎ廃墟にした。津波に逃げ遅れた人達も最初はこれほどとは
思わなかったに違いない。お気の毒としか言いようのない無常観が駆けめぐる。
誰のせいでもない。私事を言えば親戚にも未だ行方不明になっている者もいる。
大自然のパワーには小さな人間の遥か及ばない無力を見せつけられた思いだが
世の中は非情で儚ないものと改めて感じさせられる。津波による破壊は原発
施設まで及び放射能による汚染と損害はどこまで広がるのか誰も計り知れない。
近々に東京を中心とした地に強烈な直下型地震が襲うことが予測されているが
それは日本人が背負っていかなければならない十字架のように重く圧し掛かる。
地震列島に住む日本人には永遠の宿命だが昔から数々の試練を乗り越えてきた
歴史があるからこそ必ずや立ち直るだろう。