隠居の独り言(1052)

日本の原子力発電全てが止まってしまったという。たしかに福島の事故は最悪だが
だからって日本から原発を無くせば経済界に与える影響は甚大で国内産業が海外へ
流出してしまえば技術立国の日本も立ち行かなくなる。資源の乏しい日本の産業の
米ともいえる電力が輸入のLNG原油に頼っていたら自国の命運も外国に委ねて
エネルギーの安全保障上も由々しき問題だ。家庭も電気料金が上がれば家計に響く。
産業海外流出で景気が悪くなれば更に収入も減って経済の悪循環に陥るのは必至だ。
ドイツは原発廃止を宣言しながら隣国のフランスから原発の電気を買っているのは
原発の危険性を相手に押し付け自国を安全国家にするといった利己主義にすぎない。
原発反対の声は一見正論に思えても原子力発電の長期間の停止は日本経済と社会を
根底から衰退に導く可能性を孕んでいる。人間に失敗はつきものだ。失敗を重ねて
人類の歴史があり現代の繁栄に繋がっていることを思えば、ここで引き下がるのは
飽くなき挑戦への脱落であり、あらゆる英知を結集すれば再度の過ち無しと信じたい。
原発停止により火力発電に重点を補えば煤塵やCO2が発生し、環境の影響と大幅な
コスト高になり、太陽発電は膨大な敷地が必要で原発分の電力は遥か賄いきれない。
原発についての不安を煽るマスコミや風評被害も問題だが今は国民も冷静になろう。
東南アジアやアラブ諸国等では日本の原発を欲しがっている。これが国際的に見た
日本の原子力発電の評価と確信したい。世界が一斉に原発廃止に向かうならともかく
原発事故はなにも日本一国の問題でない。ここで日本が原発を辞めてしまえば折角の
先進技術が失われて世界的な損失になる。福島はチェルノブイリとは全く違う状況だ。
チェルノブイリは原子炉がメルトダウンしても手を付けず何週間も燃え続けたという。
何年も食料や水に含まれた放射能は一切モニタリングされなかったし危険性について
情報も全く知らせなかった。ロシア(当時ソ連)特有の隠蔽工作が悲劇を大きくした。
事故の真実を隠され汚れた食品や水などを食べ続けた現地の人が病気になっていった。
原発廃止はキレイゴトで済まされない。資源の乏しい日本だからこそ再稼働に賛成だ。