母の日に

harimaya2012-05-13

母が92歳で亡くなって10年が経つが
母の生きた日々の面影は今も偲ばれる。
自分は15歳で家を出たので暮らした
歳月は少なくても母への思いは重層だ。
今思えば母の人生は厳しい連続だった。
父と知り合った頃の昭和初期の時代は
愚かにも日本は世界の嫌われ者になり
庶民の暮らしも生活の質が落ちていく。
母の実家は大阪の一等地にあったが折からの御堂筋の拡幅工事で立ち退きを迫られ
商いの質屋も閉鎖を余儀なくされた。何もかも狂いだした奈落の歯車は止まらない。
やがて父は兵隊に取られ子供を抱えた苦労は母がかつてお嬢さん育ちだっただけに
生活と心の落差は並大抵のものでなかったろう。そのうえ晩年はスモン病に侵され
何十年間ものベッド生活を強いられた悲しい人生への神が仕掛けた恨みは尽きない。
母の日に思うのは、いつか自分も冥途で以前のように母と暮らしたいと願っている。