隠居の独り言(1054)

桜の花見も過ぎ風薫る五月の日本列島は大陸の高気圧が張り出して湿度も低く
爽やかな季節には「目に青葉山時鳥初鰹」の視覚、聴覚、味覚の三点セットの
初夏の句は日本人には広く膾炙している。その他嗅覚も新緑の醸し出す熱気と
匂いは人間の感性を刺激してくれる。鰹は冬のフィリピン沖から黒潮に乗って
四国沖、遠州灘を越え伊豆半島を回遊する今頃になると脂が乗ってうまくなる。
青葉の時期と重なる鰹漁がハシリだったので江戸っ子は初鰹を珍重したという。
初鰹のみならず春の山菜、新茶,新蕎麦、新鮮な食べ物の豊富な時期は幸せだ。
豊かな自然と美しい四季に恵まれた日本に生まれた幸せをこの時期最も感じる。
こんな幸せ日本列島だが地震の多発地帯であり台風の通り道であり、そのうえ
天然資源に恵まれないのは地球を創造した神は万遍なく公平に作られたと思う。
四季を楽しめる日本と違い地球上に極寒のシベリアや南極もあれば炎熱地獄の
アラブ・アフリカなど人間には住みにくい所は多いが、その一帯は天然資源に
恵まれている。でもそれらの天然資源もいつまでも無尽蔵でないのも事実だ。
例えば今は石油で懐の暖かいアラブ諸国もそのお宝は80年で枯渇するという。
前にも書いたが日本の優秀な原発を欲しがる所以だ。日本への注文は脱石油の
技術経済協力要請でペルシャ湾の海水淡水化プラント、水のパイプライン敷設、
原発の建設などでお互いに無いもの「水と油」の関係は親しい間柄で進みたい。
人の宗教心も環境によって違ってくる。山川草木等々何でも信心の対象にする
日本のように恵まれた環境で神と仏が雑居しているいいかげんな国民性と違い
苛酷な環境には中途半端な妥協は無いが、一神教イスラムの戒律はきびしい。
女のノースリーブは即警察に捕まるし、一人歩きも許されず、車の運転も不可、
外出は目まで隠す黒い服以外は法度だ。男は権力があれば何人もの女を囲うが
アルコール類は一切ダメ!日本の呑兵衛の親父にはアラブで暮らす資格は無い。
その上アラブとイスラエルの不安定な政治情勢の宗教戦争は限りを知らないし
町々は治安が悪くテロの多発地帯はいうまでもないが安心してとても歩けない。
風薫る五月に思うのは、平和な美しい日本に生まれて本当に良かった。