隠居の独り言(1055)

天皇陛下はイギリスから昨日帰国されたが陛下にとって今回のご訪英はとりわけ
感慨深いご旅行であったと思う。皇太子時代の陛下が初めてのご外遊での最大の
目的が昭和天皇の名代としてエリザベス女王戴冠式に出席されたことだったし
おそらく年齢的にも最後のご外遊になるかも知れないお気持ちも察し申し上げる。
陛下のお齢は78歳、遡れば昭和8年12月23日の朝、日本全土で皇太子誕生の
サイレンが一斉に鳴り響いたという。昭和天皇と良子皇后がご結婚以来十年目で
やっと皇位継承権を持つ男児に恵まれた。それまで4人の女子内親王だったので
日本中が沸き慶祝ムード一色に染まった。当時の自分は半年前に生まれていたが
物心ついた頃に覚えた皇太子さま誕生の歌は今も忘れない。♪日の出だ日の出に
鳴った鳴ったポーポー、サイレンサイレン、ランランチンゴン、夜明けの鐘まで
天皇陛下お喜び、みんなみんなかしわ手、嬉しいなお母さん、お生まれになった。
北原白秋作詞、中山晋平作曲の明るく軽快なメロディーはヒットソングになった。
時勢は嬉しいニュースとは裏腹に先立って満州事変があり3年後には2,26事件で
陸軍が国策先兵となり中国大陸へなだれ込んで世界中を敵に回した政治の愚策で
国を滅ぼしてしまう結果を当時国民は誰が予測しただろう。愚かで単純な自分は
骨の髄まで目出度い軍国少年の一人だったが同世代を生きた天皇陛下もご苦労を
なさったことだろう。イギリスにとっても戦争中は敵国だった日本の皇室に対し
戦後によくぞエリザベス女王戴冠式にご招待を頂いた感謝を忘れてはならない。
思えばイギリスと手を組んだのは明治の中頃で当初は超一等国と三等国の同盟で
日露戦争第一次世界大戦でどんなに助けて頂いたか、その恩も忘れ大正時代に
日英同盟関係を破棄してから日本は世界の孤児になっていく。危険なヒトラー
同盟しアメリカまで敵に廻す・・・これ以上書くと腹が立つ。現在の国際関係も
大戦前に劣らず緊張な状況にあるのに危険な中国に跪く外交でいいのだろうか?
陛下のご訪英を機に英米アングロサクソンとの良好な関係を続ける重要さを思う。