隠居の独り言(1059)

NHK大河ドラマ平清盛」は相変わらず不人気で大河史上最低の視聴率に悩んでいる。
ストーリーの複雑さ、天皇家摂関家、それに武家の源平の人物相関図を見るだけでも
何処が主体で誰が主な人物なのか途切れ途切れに役者が登場するので増々ややこしい。
ドラマも飛ばし観ているが今回は各々干戈を交えた保元の乱の場面なので見逃せない。
天皇家では後白河天皇松田翔太)と崇徳上皇井浦新)が敵対関係で、摂関家では
父・藤原忠実(国村隼)と子の弟・頼長(山本耕史)、兄・忠道(堀部圭亨)の間に
入内と家督争いが生じていた。武家の源平両氏も個別に仕えて対立軸に巻き込まれた。
天皇家の系譜の上では親子である鳥羽と崇徳、でも単純ではない乱れが事の発端で
絶対権力者の鳥羽法皇が世を去ると、法皇に欺かれた崇徳上皇が巻き返しを図った。
細かい事は省くが、天皇家とて人の子、骨肉の争いは遂に日本の歴史を大きく変える
保元の乱に発展していく。ドラマは1156年7月10日深夜、のちに保元の乱とされる
一戦が始まった。後白河天皇側では軍議が行われ源義朝玉木宏)の夜討ちの戦術が
採用される。源氏に先を越されまいと平清盛松山ケンイチ)は「死ぬ覚悟で戦え」と
一門を引き締め、白河殿に立てこもる崇徳上皇たちを攻撃。不意打ちを受けた上皇方は
藤原頼長を始め動揺するものの、源為朝橋本さとし)の防戦で戦況は膠着状態に入る。
為朝を攻めあぐねる清盛は作戦を立て直すものの敵となった叔父・忠正(豊原功補)が
行く手に立ちはだかる。一方の義朝も戦場で父・為義(小日向文世)と対面し身内と
敵対する痛みを抱えつつ清盛も義朝も来るべき武士の世のために太刀を振るっていた。
最初はどちらが優勢なのか分からない。この動乱には兵馬の多寡だけでは勝ち負けが
決するものではなさそうだ。考えるべきは大義ではないか。大義を掲げたほうが勝つ!
当時の天皇家は後世のような絶対的な存在でなくても世の中の仕組みの頂点は天皇
清盛は泰平を維持するためと武士の世を作るために大義名分として天皇に味方をした。
義朝や清盛が加勢した天皇方の戦勢は一気に決したが、敗れた上皇方の末路は哀れで
崇徳は流罪となり敗軍の武者の殆どが斬首された。親兄弟を斬る義朝や清盛の苦悩は
計り知れない。勝利した武家への恩賞も少なく、そのことが平治の乱へと繋がっていく。