隠居の独り言(1079)

ロンドン五輪が始まったが開会式の前に日本サッカーの男女それぞれが大国カナダと
無敵艦隊スペインを破ったニュースは日本中を狂喜させ愛国心が一つになった瞬間だ。
愛国心と云う観点からすれば五輪ほど素晴らしいものは無い。政治勢力の右翼も左翼も
商売ガタキも冷めた夫婦もこの時だけは心一つに日の丸選手団に諸手を上げ応援する。
開会式は北京と同じく夜に行われたが本来なら青空の下で観たいものだ。いろいろな
理由があるのだろうが思い出すのが東京オリンピック開会式で昨夜からの雨が上がり
雲一つない快晴で絶好の開会式日和になった。選手の入場行進も聖火の灯ったシーンも
アトラクションの飛行機による五輪のマークショーも今でも鮮明な走馬灯のようだが
オリンピック開会式史上の五本指に入っているだろう。やはり開会式は昼間がいい。
これから二週間はロンドン五輪の熱戦で夜も眠れないだろう。もちろん日の丸応援だ。
でも楽しいニュースばかりではない。報道では放送権料の高騰が放送局の経営に大きく
圧し掛かっているという。バルセロナアトランタシドニーアテネ→北京・・と
回を重ねる毎に高騰し放送局の経営に重くのしかかっている。ロンドン五輪NHK
民放の放送権料は325億円とかで某テレビ局では視聴率と売り上げとの関係でいえば
五輪放送は相当の赤字でレギュラー番組の方が収入面でいいという。マスメデイアも
メダルがいくつ取れるかなどと煽りたてる五輪放送は欠かせない。しかし今では五輪は
本来の目的から商業主義にすっかり汚染されている。視聴者はどのテレビ、ラジオを
点けても五輪一色なのはいかがなものか?過ぎたるは及ばざるが如し、日本人全員が
オリンピック一辺倒であるはずがない。聖火リレーにしても通過する国や町の様子が
あれほど大騒ぎをする気持ちが分からないし前回の北京五輪で中国の悪い印象が残る。
中にはスポーツが嫌いな人やテレビ漬けの老人には日々慣れた番組のほうが好まれる。
とめどない巨大化、商業化は前回の北京でひとまず行き着くところまで行った観がある。
実際的に世界の大都市でしか開催できない現状は明らかに本来の五輪精神に反するが
それはまた東京の五輪招致に改めて向き合うことにもつながる。2020年夏季大会の
招致レースは最終選考に入っているが来年9月には結果が出る。それなのに日本人の
関心度がそれほどに高まらないのはどうしてだろうか?これほどの大事業を国民的な
論議が無いまま進めていいものか。五輪の東京招致をじっくり考える好機かも知れない。