隠居の独り言(1115)

間もなく行われる選挙戦のテーマに「原発維持」か「脱原発」がある。日本の将来を
左右する原子力エネルギーは福島の事故以来の国民的な大課題だがエネルギー小国の
日本が原発を完全に手放すのは現実的でないと感じている。脱原発の理想は分かるが
それは国力低下につながる選択であって一時的なムードに流されては日本が衰退する。
現在の実情で原発に替わる太陽光、風力、地熱などの自然再生可能エネルギーだけで
国電力消費を賄える道筋は出来ているのだろうか?発電コストが高いエネルギーの
普及によって電力料金も現在よりも相当に跳ね上がるのは必至で一般家庭の電気代や
それに伴う産業の空洞化に、どう対処すればいいのか、脱原発を選挙公約に訴えるなら
このような問題にはっきりと答えなければならない。原発の再稼働が進まない現状で
例えば泊原発を運転再開しない北海道で住民や企業に厳しい寒さの中で料金アップや
電力会社は7%の節電を求めているが果たして耐えられるのか。これらが恒常化すれば
普段の生活どころか日本の培われた技術立国の根幹が崩れて企業は愈々外国に進出し
技術者は安い賃金に抑えられ技の伝統が危ういのを日本全体が考えてのことなのか?
某政党はすぐにも原発廃止という。某政党は2030年までに段階的に脱原発するという。
誰だって脱原発がいいに決まっている。でも映画「三丁目の夕日」の昭和に戻れない。
「昔のエアコン、電子レンジ、冷蔵庫のない時代に戻ります」脱原発論者は言えるのか?
何たる無責任さ、何たる無計画さ、何たる能天気さ、今後の科学者がどのように発展し
或いは停滞するかも知れない人間の知恵の予想を簡単に20年や30年の先まで読める
政治家とは占い師のようで却って嘘っぽく聴こえる。原発を止めれば使用済み核燃料の
プラトニウムが国内に大量に貯まっていくが、それをどうするのか?まさか核兵器
作るわけでなし、世界からの不信感が外交にも影響する。世界の世論は脱原発でなく
原発を推進しようとする国が続出するのは化石燃料が減っていく不安とCO2排出の
環境問題の政策でそれが世界の流れと思う。日本が蓄積した原発技術は今なお世界的に
評価が高いという。人間は過ちを繰り返しながら発展を遂げて今に至った経緯がある。
「災い転じて福となす」というが福島事故を教訓に一層の安全性を持った原発を開発し
国民への信頼を回復させるとともに新興国が求めている技術力を輸出するのが日本に
与えられた世界からのメッセージだ。今こそ皆で頑張りたい!くじけてはいけない!