隠居の独り言(1127)

安倍新内閣が発足した。現実的な政策転換の一つに民主党政権の「原発ゼロ」方針を
見直したことで代替エネルギーの見通しも立たないまま打ちだされた無責任な目標は
経済発展の基礎を無視したものだ。聞こえのいい「脱原発」は実際的に不可能なのに
「安心して暮らせる生活」を約束する詐欺師まがいのマニフェストに日本人は弱すぎた。
人間社会に絶対はなく常に不安定に満ちている。歴史はその不安定の解消に精根を込め
失敗を繰り返しながら今がある。原発はゼロより、より安全な再稼働に向けるのが筋だ。
原発も含めて内政・外交の戦後の未曾有の危機を突破して欲しい。忘れてならないのは
少子高齢化社会が確実にやってくる人類の歴史に無かった前代未聞の老人過剰時代に
出来るだけ早く対応しないと日本は滅びてしまう。20年後には3人に1人が高齢者で
若い納税者が老人の面倒を見ることの経済的にも構造的にも不可能な状態は不可避だ。
誰が悪いのではない。将来の長寿が予測され本来なら目出度い話なのに国民も政府も
何の対策も打たなかったツケが必ず訪れる。今では国民年金厚生年金基金は赤字で
税金で賄わなければならないが国庫は首が回らず一途に増える高齢者に対応できない。
医療や介護のサービスも老人の急激な増加に資金面で追い付いていけないのが現状だ。
現在65歳の年金生活者が85歳になった時、はたして年金が今まで通り支給されるか?
20年後の社会を想像してみよう。街は高齢者ばかりが目立ちゴーストタウンのようで
彼らは働く体力も意力も既に無く日がら公園のベンチに座り時の経過を待つばかりで
活気が無く寂寥感が目に浮かぶ。昔は風物詩だった路地裏の子供の歓声は聞こえない。
老人が人口比で少ない時代は大事にしてくれたが少子高齢化は若い人にも生活があり
高齢者の扶養どころでない。これは確実に訪れる今後20年以降の日本の姿といえる。
国民一人一人が老後の暮らしについて政治に頼るのでなく自身で決める覚悟が必要だ。
政治も借金に借金を重ね国債が1000兆円にも達するのに誰も止めようとしないのは
無責任極まりない。しかも原発オスプレイの可否よりもっと深刻な将来の大問題を
国民も政治家も語ろうとしないのは高齢化地獄が怖いからで余計に恐ろしい気がする。
安倍さん、やがてあなたも高齢者の仲間入りをする。目の前の勇ましい話だけでなく
おそらく生活のレベルを下げないとやっていけない高齢化社会の現実論を語って欲しい。