隠居の独り言(1154)

通称ホリエモンという男が1年9か月の刑務所生活をして仮釈放され娑婆に出てきた。
入所する時は96キロの巨体にモヒカン頭のスタイルの自己主張の強かった男だったが
出所後にスリムな体で神妙そうに会見する彼を見て姿格好は変わったが心の中までは
相変わらずの権謀と調子良さが見え隠れしていたように感じる。かつての時代の寵児
有頂天の最中に地獄へ転落して法の裁きを受けたわけだが社会経済や株主に対しての
謝罪の軽さが被害者にはやるせない。ライブドアは破産してもホリエモンの個人資産は
一般庶民からは桁外れを有している世間の仕組みに疑問を感じる。かつてホリエモン
逮捕されたとき、有識者とやらの解説者の多くがライブドアという存在が「虚」であり
嘘っぱちだったことを克明に証明していた。有識者がそれだけの真実の実体を見抜き
滔々と論じる能力があるなら、もっと早く言って欲しかったが有識者とはそんなものだ。
「虚」を広辞苑で調べてみると、空しいこと、中身の無いこと、備えの無いこと、愚か、
事実でないこと、おろか、・・とある。それより額に汗して働く人より「虚」でお金を
稼ぐ人のほうが儲かるという世の関わりをホリエモンが実践したから一般庶民たちが
今でもバクチの夢から覚めないことは彼の罪は重いと思う。現代でも若いIT長者が
後を絶たないが、働くことが愚かとか、創ることが無駄であるとか、物を考えることが
人生の敗者のような錯覚が現代の社会の風潮になりかねない。この度、国民栄誉賞
頂いた長嶋茂雄松井秀喜より当時はホリエモンの方が遥か時代の寵児を演じていた。
一代で名を成した松下幸之助本田宗一郎などとは月とスッポンだが今の拝金主義の
蔓延りを憂いてならない。そんな彼も一つだけ良いものを見せてくれた。1年9か月の
刑務所暮らしで30キロも痩せ以前のメタボの格好が嘘のようにスリムになっている。
2年足らずでスリムになるとはいかに規則正しい刑務所暮らしぶりが垣間見るようで
禁酒禁煙、一汁一菜、労働と運動、規律ある生活の成果は、今がメタボに苦しむ人は
一度、刑務所に志願してはいかがだろうか。計らずも頭脳でなく労働と運動で鍛えて
スリムになったホリエモンは格好いい。