隠居の独り言(1165)

ロシアのプーチン大統領が格好いいというご婦人が多いそうだ。でも、なるほどと思う。
あのツルンとした頭で笑顔を殆ど見せない冷徹そうな目、権謀術数渦巻く世界の中で
大国ロシアを束ねていくには日本の歴代の総理のように笑顔を振りまいていたのでは
リーダーとして示しがつかない。たしかに冷酷な男というのは漫画の「ゴルゴ13」も
カッコいい男の象徴だ。逆に、お人好し、正直者、善良な人というのは言われてみれば
あまりいい気持ちのしないものだ。2002年秋に小泉純一郎元首相は電撃的に北朝鮮
訪問し金正日総書記と初の日朝首脳会談を実現し日朝平壌宣言に調印した。小泉首相
笑顔を見せず、そのせいか金正日北朝鮮による日本人拉致を公式に認め被害者5名を
日本に帰国させることを承認した。交渉事に笑顔は要らない。最近ロシアが我が国に
エールを示すのはアメリカのシェールオイルの確認埋蔵量が莫大で原油価格が暴落し
オイル革命が起きればプーチン体制は揺らぐので、その前に日本と手を組みたいからだ。
そして北方領土を疑似餌にしてロシア産天然ガスを売り込み日本の技術も狙っている。
ロシアの北方領土不法占拠は国際法にも通用しないがロシアは事ある毎に日本に対し
不法占拠を正当化し領土のロシア化を続行中だ。この領土問題は同盟国アメリカでさえ
助けてくれない。プーチンが言う日露が納得のいく解決というが納得とは何だろうか?
二島返還で決着か?それはNOだ!では面積等分で決着か?それも建前はNOだろう。
けれど四島返還を求める限りは領土問題に解決は無い。プーチンはそんなに甘くない。
国際法云々も勝者の倫理には勝てるはずなく現実的に面積等分になれば御の字と思う。
過去を遡れば1875年の「樺太千島交換条約」でもロシアの強引さに負け、日露戦争
講和条約南樺太の割譲だけで多くの日本兵の命を安く値切られた。世界大戦末期での
ロシアは周知の通り人間性微塵もない残虐さは枚挙に暇なく悔し涙も枯れる程だが、
これからは実利的にロシアと付き合うしかない。日本外交よ、プーチンに負けるな!!