隠居の独り言(1218)

某日某所、葬儀が終わり家族一同が一段落していた時、突然知らぬ人が死者の子と
名乗り出て相続する財産の要求があったとしたら、あなたならどう対応するだろうか?
最高裁の相続に関して婚内子(本妻の子)と婚外子の間に差をつけている現行法は
憲法違反と判断した。憲法14条「すべて国民は法の下に平等」にふれるからという。
日本の民法は死亡した人に嫡出子と婚外子の両方がいた場合、婚外子の相続分は
嫡出子の半分になるという規定がある。日本はあらゆる局面で事実婚より法律婚
優先されてきたから今までの司法判断では婚外子の相続格差は合憲となっていたが
国会では最高裁の判断に従って民法を変えて婚内子も婚外子も平等にするという。
同様の訴えが5年前にあったが最高裁は現民法が合憲としてきた。それではこの間、
何があったのか?最高裁判事の顔ぶれも変わったがその根拠は「諸外国にはすでに
格差がない」「国連から文句が出ている」「婚外子の取り分を半分にする根拠がない」
でも自分は民法を変えるのは反対だ。今まで日本特有のもつ家族観は美しくあったし
親を中心に家族の文化・伝統を長く保ってきたのに親の死後、家族以外の婚外子
財産を要求してきたら、家そのものの伝統や存続が難しくなる。全く違った異国との
家族観と一緒に考えること自体、最高裁は何を考えているのか?ちなみに3年前の
割合を調べると欧米諸国の婚外子の割合はアイスランド 63.6%、スウェーデン 56 %、
ノルウェー 50 %、デンマーク 44 %、イギリス 43 %、アメリカ 33 %、オランダ 31 %、
イタリア 10 %となっている。日本の婚外子の割合は 1.93 %だが、この数字を見ても
欧米国との恋愛観、家族観が如何に違うか分かろうというものであり、いくら諸外国で
格差がないから日本でも、というのは最高裁判事や国会議員の考えが腑に落ちない。
まして国連が各国一律にしようといっても従うことはない。日本には日本の家族観の
良識や慣習や伝統があり、それは1000年以上長きに亘り培われた家族のぬくもりだ。
今の最高裁は杓子定規にとらわれすぎる。先だっての殺人事件判決も一人殺めれば無期、
複数なら死刑という判定も納得できない。判事だって人間である以上、憲法での
法の下の平等」という定義のない言葉より日本の国柄を重んじるほうが大事だと思う。
日本の家族制度のあるべき道は、もっとよく考えよう。