隠居の独り言(1301)

ここにきて集団的自衛権という言葉が飛び交っている。今までに耳慣れない言葉だが
政府が国際平和協力を目的とした自衛隊の海外派遣に関する新法を創設するとかで
世論が大きく分かれている。マスメディアの報道姿勢も賛否極端で読売、産経などは
賛成が反対を上回っているが朝日、毎日、東京などは集団的自衛権=戦争参加という
激しい論調に国民は戸惑ってしまう。厳しさを増す日本周辺の情勢は今待ったなしだ。
中国や北朝鮮の現状変更の動きは日本一国で対峙するのは無理な話で日米安保
親しい国と共に守り合う関係を強めなければ国の存立と生命財産保証が得られない。
現実的な安全保障観に立てば複数の国と集団的自衛権を持ち合うことは危ない国の
抑止力に繋がり日本に手を出せなくなる。先の戦争前の日本の大きな失敗の要因は
日英同盟破棄や国連脱退、そして近隣諸国と仲良くしないで遥か遠いナチスドイツと
同盟するなんて冷静に考えればお粗末な愚かな戦略で日本が天狗になってしまった。
因果応報は今更でないが、この際に世界の近代史を御浚いするチャンスではないか。
戦前の枢軸国だったドイツは、今ではNATO集団的自衛権を行使する一員として
先のアフガン戦争で空軍が空爆に出かけている。世界の今は米ソ冷戦時代と同じく
民主主義国家群と全体主義国家群と二つに分かれているのは現存する事実だと思う。
集団的自衛権の行使容認は昨日閣議決定されたが自衛隊の最小限度の武力行使
わが国の自衛のための措置として憲法上許容される範囲なら絶対に必要と考える。
集団的自衛権とは仲良しグループを作るという戦術であるし抑止力という戦略だろう。
戦前は軍部が統帥権という身勝手に作った法律で暴走して日本を滅ぼしたが現在の
シビリアンコントロールの効いた政治体制で軍隊が勝手に戦争を出来るはずがない。
憲法も矛盾に満ちている。9条では「戦力の不保持」を謳いながら一大戦力を持つ
自衛隊保有し、前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの
安全と生存を保持しようと決意した」とあるが近隣諸国に公正と信義を依頼するのか。
本来なら集団的自衛権云々の前に憲法改正が筋だが、現憲法が発行された当時と
あれから70年経った今では世相も世界も大きく変わった現実を見直す勇気が必要だ。
政治もマスメディアも国民も「蟻の目」でなく「鷹の目」で将来の日本を見つめて欲しい。
先の敗戦の失敗を再び繰り返す愚かな日本人はいないと信じたい。