隠居の独り言(1303)

最近のおめでたいニュースに、7月4日に高円宮家の次女、典子さまと出雲大社
神職千家国麿さんの結納に当たる「納采の儀」が行われ今秋に出雲大社で挙式の
予定で皇室典範の規定により典子さまは結婚後に皇族の地位を離れられるという。
皇室の祖先である伊勢神宮と、大国主を祀る出雲大社が結ばれるのは実にめでたい。
感慨深いのは自分が小学校に入って初めて習った授業が修身だったが、教科書の
最初のページが神話の物語だったので、めでたさと懐かしさが一緒にこみあげてくる。
薄ら覚えだが、イザナギノミコトとイザナミノミコトの夫婦の神が雲の上から長い剣を
海の中に入れ、海水の8滴垂らされて8つの島、大八洲(オオヤシマ)ができたという。
つまり日本列島の出現だ。その後、夫婦は大八洲で暮らすようになり二人の子を儲け、
天照大御神アマテラスオオミカミ)と素戔嗚尊(スサノオノミコト)で、素戔嗚の子孫が
大国主命(オオクニヌスシノミコト)ということになっている。神話にも二つの説があって
島々は元から有り、その島に元からいた神、それが国つ神、天上から降りてきた神様、
それが天つ神で、その名のとおり天の神であり皇祖としてアマテラスが君臨したという。
それまでの国つ神が出雲でありその子孫が大国主命に辿る。神話について解釈は
様々だが大国主命は天の神の天孫降臨に際し天皇家の祖先神に屈服した国つ神で
天つ神と国つ神がどのように話し合ったか詳らかでないが争った形跡も見当たらない。
平たく言えば日本列島に昔から住んでいる国つ神を仰ぐ人達に、ある日突然のように
舞い降りてきた天の神が国つ神を従えたことになる。しかし屈服した負け犬のような
出雲大社が、なぜ従えた側の神殿の伊勢神宮や、その子孫の宮殿の京都御所よりも
大きいのか。どんな話し合いがあったのか記述もないので分からないが日本の神は
西洋の一神教のよう争いごとをお嫌いなようで、後の仏教伝来の時も和の精神だった。
そんなことはキリスト、イスラム一神教や中国、印度の宗教でも考えられないだろう。
天皇家も1000年このかた「君臨すれども統治せず」で政治には殆どタッチしていない。
日本人は世界でも珍しい平和を愛する人種だ。本来なら神道的にも相容れぬはずの
伊勢神宮を皇祖にもつ高円宮のお嬢様と出雲大社神職宮司が結婚されるのは
西洋風で言えばロミオとジュリエットだが、考えてみれば日本はなんと平和で幸せな
国家であると再認識する。あらためて「おめでとうございます」と祝辞を述べたい。