隠居の独り言(1309)

梅雨が明けた。愈々夏のシーズンで、子供たちは夏休みが待っているし、若者たちは
レジャーや遊びに出かける楽しみに満ち、家族連れは海や山の旅行に夢膨らませる。
年寄りは旅に出かける元気なく家でクーラーをかけテレビ三昧で夏の過ぎるのを待つ。
夏は年齢性別門地学歴教養貧富の如何に関わらず等しく暑くなるのだから仕方ない。
それにしても今の日本の平和をつくづくと噛みしめる。先の戦争が終わり70年を経て
自民党集団的自衛権を掲げ、一人前の国家として民主主義国家間の仲間入りを
果たそうとしているのに未だ敗戦のマインドコントロールから冷めない人の多さに驚く。
同じ敗戦国だったドイツが20年も前に集団的自衛権で各国と対等に付き合っている。
今は日本の指導者たちが各國訪問しているが、テレビを見ても何故か自信なさそうに
相手と会談する姿が弱々しくて面白くないし、集合写真でもいつも端っこに立っている。
先の戦争での日本の大失敗は当時の米英ソなどの大国と袂を分かち孤立したことだ。
当時の日本の同盟国はヨーロッパのドイツで地理的にもそんな遠い国と同盟したって
何の利益になるのか。同じヨーロッパも海洋国のイギリスと同盟ならワケも分かるが
陸地国家のドイツと手を結んだワケが未だ分からない。だから結果は戦争に負けた。
無条件降伏の二年前から自分は福島県白河にいた。戦争状態は昭和19年以降の
日本列島は完全に孤立していた。制海権、制空権は完璧なまでアメリカ軍に抑えられ
民間の船でも当時日本領だった朝鮮・台湾にも行けない状態にまで追い詰められた。
食料の行き来も出来ず闇でも入手し難く配給は遅配というより途絶えて人は苦しんだ。
やがてサイパン島が陥落してアメリカの爆撃機B29が頻繁に飛来し、日本各都市の
空爆が日常茶飯事になり、トドメは広島長崎の原爆投下でようやく日本は手を上げた。
今の大学生で日米が戦争したことを知らないのが20%もいるという。そのうえ日本が
負けたことを知らないのを含めると25%。つまり4人に1人が戦争をまるで知らない。
戦争体験した人なら世界の仲間外れの愚かさを二度と繰り返したくないのが当然だ。
大言壮語の好きだった軍人、それと一緒になったマスコミ、国民は二度と騙されない。
日本一国で近隣諸国に対抗できるなら集団的自衛権なんて要らない。世界と仲良く
手を携えるなら同じ戦略的価値観を持ち合うのがベターであり平和の抑止力となる。