隠居の独り言(1322)

好きな俳優で深みある役者であり絵本作家でもあった米倉斉加年さんが亡くなった。
しかも仕事打ち合わせ後に急死されたというから驚きだ。死因は腹部大動脈瘤破裂。
周知の方も多いが大動脈瘤破裂は90%以上助からない。突然死に近い状態という。
淀川長治藤田まこと司馬遼太郎も大動脈瘤破裂で亡くなっている。あまりに惜しい。
人の血管には瘤ができることが多く、最初は小さいが徐々に瘤が大きくなり最後には
破裂に至る。しかし瘤ができて破裂する大きさに達するには相当の時間を要するので
途中で瘤の発見ができれば手術、またはカテーテルで治すことができる病気といえる。
瘤が破裂するのは正常経(30mm)より倍以上になると危険で、それまでに手当をする。
この病は自覚症状がなく見逃しやすいので欧米ではサイレントキラーと呼ばれている。
別の病気の関連で発見される場合が多い。人間ドックも血管のCT検査までしないが
中高年になれば皆様、血管の検査を受けられるといいと思う。体の安心のために・・
米倉斉加年さんも多分、ご自身が動脈瘤になっていたことをご存知無かったと思う。
もし生前に自覚されていれば手術の手当もされただろうし、だからこそ残念でならない。
実は自分も胸部大動脈瘤を抱えている。自分の場合は不整脈からくる心房細動での
心臓検査で胸部大動脈瘤が発見された。すぐに造影剤を入れてCT検査の結果は
直径が45mmで正常経30mmの約1,5倍の大きさになっていた。最初、大動脈瘤
発見の時には気持ちが驚天動地になって自分も愈々年貢の収めどきと半ば覚悟もし
諦めもしたが、主治医から心臓血管外科の専門医を紹介していただき意見を求めた。
専門医の話では人により大きくならない人もいるし大きくなっても破裂しない人もいる。
喫煙、深酒、動脈硬化、高血圧、糖尿病があると進行が早いとのこと。自分にはない。
統計上では55-60mm以上になると危険範囲なので手術を考える。今は一年一度の
動脈瘤の経過を観察するだけでOK。今までの普段の生活で差し支えないとのこと。
手術の大きさには数年以上はかかる。もし手術になっても体温を下げ執刀するもので
年齢による制限は無いとのことだった。医者は罹患に気付かない人より知ったことが
なによりと言われた。年齢からして、検診を続けていれば寿命の方が先になるだろう。
専門医は卓越した有名な方で、きちんと説明されると人は現金なもので晴れ晴れする。
すぐ普段の生活を取り戻した。仕事、遊び、運動、先日は孫と軽い山登りも経験した。
人の体は沢山の部品でできている。老いは部品耐用年数が徐々に短くなることだが
歳を重ねるほどに顕著になるのは仕方ない。病気の早期発見の重要さをしみじみと
感じた今回の「事件」だった。それにしても名優・米倉斉加年さんの突然の死は悲しい。
そして以前亡くなった作家・司馬遼太郎さんも・・・