隠居の独り言(1339)

日本シリーズも終わって今年も野球のない季節になった。冬はストーブリーグなんて
言うけれど野球ファンにとって仮死状態といえる。日本シリーズトラキチには悔しい。
CSで巨人に四連勝したのに、そう言っては悪いが格下のソフトバンクに負けるなんて
勝負の世界は分らない。運の神様のいじわるか?それとも阪神ナインの運の無さか。
1985年に阪神が日本一になって以来29年経ち優勝の美酒を楽しみにしていたのに
無残にも幻と消えた。自分はもう先が見えている。年齢からして目の黒いうちに阪神
優勝のニュースを見たかったが後29年待てない。これで我が虎吉人生終わりだろう。
巨人のように年中強ければいいが、そのわり阪神はそんなに強い球団でないからだ。
そもそも阪神ファンは他球団に比べて熱狂的で、トラキチと言われるくらいキチガイだ。
他球団のファンにない雰囲気を持ち合わせている。巨人ファンはヨミキチと言わないし
中日ファンもドラキチと言わない。他の球団はソフトなのだろう。虎軍団は甲子園では
縞模様のユニフォームに六甲颪を歌い声を限りに応援する。これぞ日本一のファンだ。
実際、阪神は毎年のように100点満点で50点も貰えずヤキモキしながら終わるのが
チームの状態で、それでなお付いていく阪神ファンの心理はマゾヒズムの骨頂だろう。
今年も遂に100点は貰えなかったが、日本シリーズまで行ったのだから80点だろう。
自分の人生訓である80点人生を達成したのだからこれでよしとしよう。思い起こせば
野球をしたのは中学生の頃で戦後の当時ボールもバットもなく器用な友が手作りの
ボールを作りバットも木枝を小刀で削った。グローブもなくみんな素手の野球だった。
そればかりかルールも知らず何人いても何の不自由なく楽しんだ。要するに原っぱの
草野球で二つのチーム名はいつも巨人と阪神。誰からともなく、オレは巨人の川上、
オレは阪神の藤本と名乗って、その気分になり球を打って走った。野球の石器時代
言うべきだ。やっと学校でボール、グローブ、バットを揃えたとき自分の卒業後だった。
だから今に生きる古い野球経験者であることに違いない。生粋の野球ファンといえる。
物事は何でも鑑賞するより体験に勝るものはない。巨人阪神の試合を観戦するより
下手な草野球をする方が断然面白い。さてこれから11、12、1、2、3月と野球の無い
男の人生は魂の抜けた漂流者で、冬眠は来年の啓蟄の日まで待たなくてはならない。
それは女には分からない男のロマンだ。冬眠中はヤマノカミと静かに暮らしていよう。
しばらく気分はおとなしくしている。