隠居の独り言(1390)

このほど、箱根の大涌谷で小規模地震が多発して不気味な兆候が気持ちを曇らせる。
今月に箱根温泉に行くつもりをしていたが風評被害は気にしなくても交通が気になる。
九州の桜島阿蘇、霧島、口永良部島、関東の白根、東北の蔵王、吾妻などの山が
警戒レベルの規制をしている。他に富士、磐梯、雲仙、伊豆大島など目白押し状態だ。
昨年は突然の木曽御嶽山噴火で多くの死者を出し休火山といえども油断がならない。
自然の猛威には人間は無力だが災害は4年前の東日本大地震といい、ここ数年来、
台風、竜巻、豪雪、噴火など自然災害が多すぎる。近未来に南海地震、富士山噴火、
東京直下地震が起きるとされるが歴史的にもなぜか天変地異は集中して起きている。
地球規模で言えば地球が誕生して40数億年、地球の寿命が100億年として人間に
置き換えてみれば今ちょうど40-50代の最も働き盛りの活動が活発な時に違いない。
天変地異は地球が生きている証拠であり、噴火は地球の呼吸で地震は寝返りだろう。
今、時代小説を読んでいる。8代将軍の吉宗の享保年間(17世紀前半)が舞台だが
当時も自然災害が多く発生した。九州の霧島が一年以上にわたって噴火を繰り返し、
それに負けまいと東北の岩手山、関東の浅間山の大噴火が重なる。それに連動して
宮城沖のM7,5大地震津波で多くの死者を出し、地震能登、肥後、江戸と連発。
その間を縫って暴風雨が日本列島を縦断して高波、洪水の災害、東北は冷夏が続き
西日本は水害で全国規模の凶作は何十年となく続く。庶民は為すすべもなく苦しんだ。
天災ではないが、その後の明暦時代には「振袖火事」で江戸の市中はほとんど焼け
江戸城天守閣も焼け落ちた。しかし幕府は、無為無策、諸大名にとりあえず災害の
応急手当を命令するだけで、おろおろするばかり・・・4年前の東日本大地震直後での
津波対策、原発事故の処置に似ている気がしないわけでない。要するに日本列島は
災害列島であり普段から災害から備えることの重要を肝に銘じていなければならない。
ところで将軍吉宗は庶民には倹約を強い、ひたすら華美を禁じ衣食なども制約したが
その吉宗は鷹狩りや試合見物が大好きで、そのうえ息子の婚礼には金に糸目つけず、
諸大名はその御祝のため出費で苦しんだという理不尽な行為に庶民は何と思ったか。
お上とは何かと庶民からモノを召し上げる。そのお上は贅を尽くす。これを人災という。
いつの世も変わらない。天災は必ずやってくるのは仕方ないが人災は勘弁願いたい。
お上は備えの方策をきちんとつけるのが役目だ。