隠居の独り言(1402)

歴史は繰り返される。1937年にイギリスのチェンバレン首相は当時イーデン外相の
反対にも拘らず台頭するナチス・ドイツに対し宥和政策を進めた。軍備増強にともなう
財政負担を恐れたからだが、結果的には第二次世界大戦ホロコーストを招いた、と
後継首相のチャーチルは戦後厳しく批判している。しかも当時イギリス国民の世論は
チェンバレン首相の平和主義的な政策面を支持していたというから、どうしようもない。
歴史の繰り返しは台頭する中国の呼びかけにイギリスは応じてアジア・インフラ銀行
「AIIB」に参加表明をしたことで、将来の中国主導の世界がやってくるのは必至だろう。
今回もイギリス外相の反対を押し切り、オズボーン財務省が財政面で進めたらしいが、
外交の論理より経済を優先させる図式は当時と変わらない。しかもフランス、ドイツ、
欧州の主要国、オーストラリア、韓国など46か国に上ったというから考えさせられる。
先週のG7で、口先で中国・ロシアの「力による変更」と首脳宣言で非難したところで
中露は馬耳東風、ロシアはクリミアを併合し、中国の南シナ海の埋め立て工事が進む。
アメリカ・オバマ演説も完全に見透かされ、中国の報道官談話のほうが現実味がある。
イラン・北朝鮮の核保有も阻止できず、IS殲滅作戦も完全お手上げでどうにもならぬ。
安倍晋三アメリカとの集団的自衛権を掲げても、世論調査で反対が賛成を上回る。
国会で安全保障関連法案を審議しても議場の内容は野党のくだらない質問ばかりで
本来の国会審議ではない。時間の浪費と不毛の論議国税がどれほど無駄なのか。
世の中の激変ぶりを知っているのか、知らないのか、これで国会議員たる資格を問う。
自衛隊が米軍と共同で防衛するのが日本の安全を担保する理を知ろうとしないのか。
先の大戦の反省といえば惨めな体験の映像や語り手ばかりの自虐的で耳タコになる。
惨敗の記憶は忘れてならないが、本来の反省とは国連を脱退し、日英同盟を破棄し、
何故ナチス・ドイツと手を組んで、英米アングロサクソンを敵に回した愚さだったのか。
歴史の流れをきちんと読まなかった戦前を痛切に反省するのが日本の将来に繋がる。
自分としては大戦で日本各地に空襲、原爆まで落とし、占領後に憲法まで押し付けた
アメリカに必ずしも好意を抱いていないが同盟するなら他の国よりマシだと思っている。
これから日本がどうなっていくのか。これから世界はどうなっていくのか。戦争反対の
スローガンは容易いが、世界が二極で争っている以上、戦争の火種は避けられない。
今は歴史をきちんと学びたい。そして日本の進路を絶対に間違えてはいけない。