隠居の独り言(1417)

夏が来れば思い出す。其の九。戦争はもう嫌だ。誰も恒久平和であってほしいと願う。
空襲、戦死、飢餓、敗戦・・話は暗く目を逸らしたくなるようなセピア色の思い出が蘇る。
今では平和の尊さを知ったようなことをマスコミはシタリ顔で言うが、戦中のマスコミは、
戦争賛美一辺倒記事ばかりだった。世界情勢をいち早く知るはずのマスコミが当時の
世界の中の日本をなぜ素直に報道しなかったか。だから今もマスコミは信じられない。
明治の日露戦争だって日本はやっとの辛勝で世界のマスメディアは正確に伝えたが
日本のマスコミは局地戦勝利ばかりを報道し、後の奢りに繋がったのは大きな責任で
日露戦争の判断を国民に冷静に伝えていればその後の歴史に大きく関わったと思う。
マスコミ偏向の例は、朝日新聞靖国参拝慰安婦問題を持ち出したが何の利益か。
今も百年一日の如く、惨めさばかりを報道して何になる。もう歴史の一部に入っている。
思うに戦争反省は自虐的報道より、どうして戦争が起きたのかを検証するのが正しい。
日本の近代史は、黒船来航で鎖国の江戸期から目覚め世界を見渡せば白人諸国が
有色人種を支配し、植民地化していることに日本は驚愕し、恐怖に陥ったに違いない。
さしずめ近隣ではイギリスがシナ大陸でアヘン戦争を起こし、次いでフランス、ドイツ、
オランダ、アメリカが清国を侵食し、北方からはロシアがシベリアを経て朝鮮半島まで
手中に収めようと、虎視眈々と狙っていた。彼らの最終目的は極東の日本列島だった。
明治28年、朝鮮をめぐって清国と戦い勝利を収めて、講和条約が下関で締結された。
欧米諸国からの侵略で清国が疲弊していたといえ白人の欧米は有色人種の日本が
清国を打ち負かしたことは列強に面白くない。日本にいちゃもんつけて三国干渉をし、
清国から割譲された遼東半島を返還させられ、悔しい「臥薪嘗胆」の言葉も生まれた。
それから10年後、その遼東半島を舞台にロシアと戦い日露戦争で辛うじて勝利した。
これには欧米列強はびっくりしただろう。勝つはずがない有色人種の日本がロシアに
勝ったことは、アジア・アフリカの被植民地の人たちに希望と勇気を与えたに違いない。
明治の戦争は国家を守るという自衛の戦争であり国民全てが危機感を自覚していた。
その9年後に第一次世界大戦勃発し、日本は日英同盟のよしみでドイツに宣戦して
シナ大陸のドイツ領の青島を占領、地中海まで海軍を派遣してイギリス海軍を助けた。
大戦が終わると日本も戦勝国のはしくれで、国連からは太平洋に浮かぶ南洋群島
統括を委任され、広大な太平洋海域が日本の勢力範囲になった。でも坂の上の雲
日本近代史はここまで・・ここで止めときゃ良かったのに余計な軍部が芽を出してきた。
日英同盟を破棄し、そのうえ国連を脱退して世界の孤児になり坂を転げ堕ちていった。
その後は言うのも腹立たしいのでやめるが、本当の反省とは歴史を顧みることと思う。
人類の歴史はまた戦争の歴史であり、人類の諍いは絶えない競争意識から生まれる。
だから真に平穏を求めるなら世の勝ち組に属さないと惨めな結果になることは必至だ。
日米安保集団的自衛権。中身を知ろうせずイメージだけで走る日本人の多さに憂う。