隠居の独り言(1433)

安倍首相とプーチン大統領が訪問先のアメリカで「日露平和条約」のことで会談した。
日本にとっては北方領土返還が主題だがロシアは領土に関して強硬姿勢を崩さない。
「領土の代わりに死んだロバの耳をくれてやる」。10年前の対独戦勝記念式典後の
記者会見でのロシアのプーチン大統領の口から出た罵りの言葉という。バルト三国
ラトビアがロシア領となっている隣接地域を固有の領土として返還要求していることに
質問が出た答えで発言はこう続く。「固有の領土と言うのならクリミア半島はどうなる。
ロシアの固有の領土を返してくれ」その言葉通りにロシアは昨年クリミアを一方的に
併合した。ならば日本固有領土である北方四島について、ロシアは何と説明するのか。
70年前の終戦直後、当時ソ連が不法に占拠した理由を聞きたい。どうやら日本にも
「死んだロバの耳」しか渡すつもりはないようで、モスクワで開かれた日露外相会談で
ロシアの強硬姿勢が目立った。「北方領土の話は全然していない」とラブロフ外相は
領土の存在を否定する発言だった。それはプーチンの意向に沿った発言に違いない。
安部総理はプーチンの年内訪日に期待しているが、ロシアに領土発展の意思がなけ
れば訪日を断るべきだ。そして政経不可分の原則を貫かなければ領土は解決しない。
政経不可分とは政治と経済を同時進行で、政治がうまくいけば両国の経済や貿易を
発展させ、うまくなければ経済面を縮小する。今は安倍総理の真価が問われている。
周知の通り北方四島は日本がポツダム宣言を受け入れ降伏した後に二週間も過ぎ
ロシアが一方的に奪ったものでロシアの新しい領土であると規定される国際法上の
根拠はどこにもない。まして戦争中のロシアの日本に対する非道な残虐行動は満州
樺太・千島で多くの人を殺傷したうえ、シベリアに60万人の日本兵を抑留し6万人も
死亡させた事実を併せて、日露交渉原点とするのが真っ当なのに戦後歴代の日本の
政治家はロシアに対し、何の益もない妥協と援助を重ねたのは日本人として情けなく
腹が煮えくり返る。領土問題は当然に国際政治の力学の変化により大きく影響される。
今はどう見ても経済も技術も日本の方が、遥かにロシアを凌駕しているのは明らかで、
国際法上も北方領土をめぐる立場は日本が正しく日本がしっかりすれば日露関係は
圧倒的に有利のはずなのにロシアペースに嵌っている日本が情けない。今のロシアの
経済面は原油天然ガスの価格が下がり日本を大いにアテにしている時期だけに
北方領土の解決に絶好のチャンスといえる。だからこそ領土交渉は強気でロシアに
当たりたい。安倍さん、この際は焦ってはいけない。急ぐ旅でもないのでロシアの
領土返還の意思を聞くまで、果報は寝て待とう。