隠居の独り言(1452)

日々電車通勤をしている。千代田線・綾瀬駅から湯島まで乗り、湯島から外を歩いて
大江戸線上野御徒町から両国駅まで、総計約40-50分の時間を掛けて会社に着く。
朝は有難いことに綾瀬から始発があるので優先席に座って文庫本がゆっくり読める。
でも座れないときや途中で身障者や妊婦に席を譲る場合もあるので100%じゃない。
しかし優先席に丈夫な若者が占拠してスマホに夢中で中には寝たふりをして老人や
障害者、妊婦が前に立っても知らんふりに腹が立つ。余計なお節介だが、この若者を
産んで育てた親の顔をつくづく見たいと思う。教育勅語で育った昭和一桁からみれば
日本の社会も品格を失った。戦前教育は今では否定気味だが目上を尊ぶ日本人の
儒教の精神はどこへいったのか。「おもてなし」と口で言っても実際と随分かけ離れる。
儒教は日本伝統の美学であり後輩たちにも継いでほしいと願う。でも車中で立っても
電車の宙吊り広告に目を遣り世間の情報はなかなか面白いのが多く芸能ニュースや
三面記事、スポーツ界など世相の話題に事欠かない。野次馬的な目からも車中での
老若男女の品定めも楽しめる。この人は随分疲れているなぁ、きっと昨晩呑みすぎだ。
この二人は恋人なのかなぁ、密着しすぎる。この人の身なりはいいが漫画読んでいる。
夫婦子供が座っている。三人共スマホに夢中で会話がないのは先が思いやられる。
それにしても奥さんは美人だなぁ、悪いが旦那と超不釣り合いでオッサンが恨めしい。
こんなの大きなお世話だが、いろいろ他人さまを想像するのも通勤時間の楽しみだ。
帰りは違ったコースにしている。総武線で両国から新小岩、次にバスに30分ほど乗る。
座ってタブレットYoutubeを最近仕入れたイヤホンで好きな音楽を聴く至福タイムだ。
以前は車通勤で20分程度の距離だが、健康保持の歩くため電車通勤に切り替えた。
駅のエスカレーターやエレベータもできるだけ利用しないで自分の足で昇り降りする。
車の運転は時間的には早いが道路ばかりで視野も狭くなる。その点も歩くのがいい。
そのせいか、すこぶる体が軽くなった。仕事にも電車を利用する。ふと気付いたのは
路線によって、都心と郊外、山の手と下町、荒川や隅田川を挟んで、人品骨柄、風体、
立ち居振る舞い、語り口が違うのは場所柄なのか。なかでも地下鉄銀座線の乗客の
雰囲気がいい。とくに女性、お洒落な洋服を着てスカートを履いているかたを多く見る。
同じ東京23区内に住人だが場所によって多少の違いがあるのは地域の伝統だろう。
そんな小さな発見も、ボケ防止には有効だと、老い先短い爺は考える。