隠居の独り言(1477)

誰もが食べるために仕事をし、或いは会社に勤め生活のため稼がなくてはならない。
そんな中で、どこの社会にも必ず派閥や学閥があり抗争が起きることもあるだろうが
自分の意思、心構えが強くなくては世渡りで勝ち組に残れないし、生活が惨めになる。
話変わるが今年の大河ドラマ真田丸」は戦国時代を描いた絵巻で最近になく面白い。
ここ数年、大河は視聴率も悪かったがやはり戦国という時代背景が受ける要因だろう。
そして「真田丸」はスピード感があっていい。最初からを振り返ると武田家の滅亡から、
第4話まであっという間に描かれた本能寺の変からも分かるようにあくまで真田家を
視点として真田家が知らない事実は最小限に描かれる展開が潔くスピード感溢れる。
大河という一年の長丁場でスピード感を連続させながら、ドラマを丁寧に描けるか、
盛り上がる場面があるか、たっぷり見せ場を作れるか、今年の大河は楽しめるだろう。
戦国時代は勝ち負けのはっきりした時代で生きるも死ぬも才覚ひとつで決まっていた。
中部日本16世紀の戦国時代の後半は越後に上杉、関東に北条、駿河に徳川があり
それらに囲まれた信濃真田昌幸草刈正雄)の生き方は保身のために何でもした。
それは、どちらに転んでも沈むことがないように水面下で多角的に大名たちの戦略、
方向性を睨みながら変わり身のしぶとさで生きていた。ひとりの大名だけにあまりに
旗色を鮮明にすると勝ったときは配当もいいが、負ければ自分も滅びる覚悟も必要だ。
戦国時代は真田家に限らず多くの豪族たちは日和見、中立、風見鶏的であったろう。
命がけで家の存亡に関わっているわけだから、強い大名に二重三重の保険をかける。
真田の前は武田信玄の家来だったが、主家が滅びると上杉、北条、徳川という3強が
領地を狙って攻めかけてくる。それを防ぐにはどこかの勢力圏に入らなくてはならない。
僅か一年そこそこの間に武田→織田→上杉→北条→徳川と列強間を駆け巡ったが
昌幸だったからこそ生き残るための戦略の的確な先見力があった。ドラマの前半は
主役のはずの信繁(堺雅人)や信幸(大泉洋)より草刈正雄扮する昌幸の活躍ぶりが
群を抜いている。草刈といえば「美の壺」のイメージで柔らかい雰囲気俳優と思ったが
なかなかどうして、戦国時代に生きる権謀術中に長けた真田昌幸演じる「はまり役」だ。
ドラマの後半は関ヶ原からだろうが、真田一族が戦国時代→江戸時代を生き抜いて
現在まで続いているルーツの元は真田昌幸の先見の明だろう。これからが楽しみだ。
最近の大河ドラマは低視聴率だったが「真田丸」で息を吹き返した。大河ファンとして
今年一年を期待し、楽しませていただく。