隠居の独り言(1485)

新年度が始まった。新社会人にとっては新しい職場、受験生にとっては新しい学校。
それぞれ明日に向かって歩き出した君たちに心身共に希望の将来を祝福申し上げる。
青春時代の何もかもが新品で、未来に輝く胸の内も白木のように美しく輝いて見える。
これからの長い人生は何ごとにも興味を抱き、いつも気持ちを前向きに進んでほしい。
しかし必ずしも望んだ職業や会社、志望した学校に行けなかった人も大勢いるだろう。
でもそれにめげてはいけない。人生とはそういうものであり、自分の思い通りいかない。
でもそれが反骨の精神を産み人間が大きくなり、成功した偉人の殆どが体験している。
新しい希望はまた新しい試練と思う。柔道五輪3連覇の野村忠宏氏は最初の試合で
中学1年生の女子選手に投げ飛ばされた。プロ野球長嶋茂雄氏はプロの初打席で
3連続三振をした。野村克也氏も11打数0安打の野球人生のスタートを切っている。
著名人もそうなら、自分も小僧時代は挫折と失意の連続だったことしか覚えていない。
振り返れば若き苦難を乗り越えてこそ人生の希望と満足があり、生き甲斐が生まれる。
生まれつき優れた家柄や順風満帆の人には他人への思いやりや優しさが分からない。
若い時から苦労や挫折あってこそその後の成功が待っているし、人間味もついてくる。
自分を語るのもおこがましいが裸一貫の中卒の田舎っぺが東京に出て小僧の苦労し
食うか食わずやの貧乏にも耐え、どうやら東京に根っこを下したのも心意気のせいだ。
「つまずく石も縁の端」という。つまずいて転んだ失敗も、必ず次は成功が待っている。
確かに勉強も仕事もつまらない。そして成功は遠い。しかしつまらない勉強や仕事を
無駄な努力と思わず継続と遠回りを続けるのが価値あるものと自分の体験から思う。
人は知らず知らずのうちに自分を作っていく。そして誰にも美しさと醜さを秘めている。
できるなら自分の力量と感性を意識しながら醜さを捨て若者から大人になってほしい。
年寄りの助言は希望の門出には余計なお節介かもしれないが自分の道をみつけよう。
「ロバは旅に出ても馬になって帰らない」の格言があるが、駿馬の出番を待っている。