隠居の独り言(1509)

時の経つのは早いもので今年も折り返し点6月も今日で終わり一年の半分が過ぎた。
「六月みそかは年の臍」という。一年の真ん中にあたるので陽暦も陰暦も変わらない。
今年の前半も英国EU脱退、原油安、株安、不景気、来たる参院選はどうなることやら、
本来なら経済、外交、消費税、憲法社会保障など論議されてもいいのに明るい話は
乏しく、人は目先に起こったことに気を取られ盛り場は平日でも人の流れは絶えない。
週刊誌の中身は、芸能人の不倫、歌丸笑点引退と日本は平和だなぁとつくづく思う。
報道によれば、先だってのイギリスのEU離脱を巡っての投票で離脱と入れたことを
後悔している人が多いという。離脱派の公約の誤りも判明し、「嘘を信じてしまった」
「離脱へ投票したことを後悔している」とかで国民投票のやり直しを求める署名が増え、
実際の投票の残留と離脱の差を上回っているという。投票後に世界的に株が急落し、
イギリス国債が格下げされ、キャメロン首相が辞任し、景気の先行きにも不安があり、
北部のスコットランドも独立機運が上昇しているとなれば、イギリスはバラバラになる。
かつて「太陽が沈まない国」と言われた大英帝国に日没の時がやってきたのだろうか。
人口は世界の20か国にも入らないのに世界5位の経済大国で、民主主義は強靭で、
軍隊も指折りの優秀さを誇り、今の世界の共通語が英語なのは偉大な歴史が物語る。
歴史の栄枯盛衰は常識だろうが、さすがのイギリス人も事の重大さに改めて深刻に
なっただろう。世の中は、そんなに甘くないことをイギリスが実証してくれたことになる。
翻って参院選で野党が相変わらず憲法改正に後ろ向きなのは何と狭量な考えだろう。
東シナ海尖閣諸島で中国軍艦が領海侵犯を繰り返し、攻撃動作を繰り返す報道は
既に、憲法9条で対応できないことを、そして集団的自衛権なしで対応できないことを、
知ってか、知ろうともしないか、感情論だけで世界に通用しないことは常識以前だろう。
「泥縄」という言葉は泥棒が侵入してから縄を編んでいては、もう遅いという格言だが、
日本人は愚かでないと信じたい。そしてイギリスの二の舞をしないと信じたい。