隠居の独り言(1528)

安部晋三首相が日露平和条約締結向けた交渉でプーチン大統領に会いに出かけた。
勿論、日本にとって北方領土交渉が主題だが、あまり期待しない方がいい。ロシアは
返還の気持ちも無くいたずらに日数を伸ばし日本の資金、経済、技術だけを取ろうと
魂胆が見えているだけに今までの轍を踏まないことだ。安倍首相は現在の任期内に
纏めたい気持ちは分かるが、これまでの戦後の交渉で、どれほど騙されてきたことか、
馬の鼻先にニンジンをぶらさげられ走らされてきた恥辱を思い出すといい。そもそも
先のクリミア事件でもロシアは世界の世論を敵に回して、未だ開き直っている現在に
何が出来るというのだろう。今、ロシアは原油安で経済が落ち込み四苦八苦している。
隣国の中国も経済が不振で、そのうえ中国人がシベリアに大量流入している現状は
ロシアにとって頼みは日本以外に見当たらない。だからここは強い交渉が期待できる。
歴史を見ても世界一の広大な領土を持つロシアは帝政時代から強烈な帝国主義
国是とする国家だった。今でも広大な領土を保つためには強大な軍隊と秘密警察で
様々な民族を締め上げなければ大領土を保てない。中国も同じで領土が大きいのは
帝国主義で人民を統制しなければ成り立たない。毎年メーデーなどに広場で軍隊が
行進し、新兵器など誇示されるのは、絶えず仮想敵国を作って心理面で人心を外に
持っていく作戦で、大領土を保つことと一部の権力者の権限を保つことの両面だろう。
ロシアも中国も一握りの権力者によって統制され国民の意思は遠いものになっている。
本来の国家とは国民が食べ、かつ楽しみ、安寧な生活を保障する機構を指すのだが、
それには国家のサイズの適正が必要で人種、言葉、習慣、伝統、同じなのが安寧だ。
日本の歴史的発展も幸福度も決して無関係でない。不謹慎な言い方かもしれないが
北方領土はもう必要ないのではないか。国の領土が大きければいいというものでない。
どうせならロシアに高く売りつけよう。