隠居の独り言(1558)

NHK大河ドラマ真田丸」が終わった。三谷幸喜、脚本の戦国ものだが見応えあった。
歴史の戦記物の殆どがフィクションであり、真田幸村という人物が日本の歴史の中で
どんな役割を演じたのか作家により違うのも仕方ない。幸村は真田昌幸の二男だが
真田家は信玄の時代から武田家に仕え、北に上杉、東に北条、南に徳川に囲まれて
父・昌幸の軍略と処世術を学んでいく。武田の滅亡、関ケ原大坂の陣などに揉まれ
幸村の人生は波乱万丈でこれほど多くの日本人に愛された戦国武将は少ないだろう。
反面、誰の目からも徳川家康は狸親父で豊臣家を滅ぼした悪役で家康に真正面から
挑んだ真田幸村は英雄扱いだ。家康は大坂冬の陣のあと、外堀だけを埋める約束を
内堀まで埋めて大阪を滅ぼした狡さは日本人の正義感に強く傷をつけた人物とされ、
後に徳川幕府が日本を鎖国したのは時代の流れといえ昭和の敗戦の遠因にもなる。
立川文庫の本に、家来に真田十勇士というツワモノがいて縦横無尽の活躍が面白く
回し読みした。無論、創作上の人物だが講談にも取り上げられ猿飛佐助、霧隠才蔵
由利鎌之助、三好青海入道など、ガキのチャンバラゴッコの英雄だったのも思い出す。
徳川家康の敵役の真田幸村は、歴史小説家にとって格好材料になるのは当然だろう。
さて今回の「真田丸」キャスティングから見れば堺雅人の幸村は合ってない気がする。
もう少し策略家らしい面構えの男優が欲しかった。それは兄信幸の大泉洋にもいえる。
思いがけなかったのは草刈正雄がハマり役だった。真田家運命を背負った昌幸役を
見事に演じたのは素晴らしい。脇役の女性たち、高畠淳子、長澤まさみ、吉田羊など
それぞれ上手かった。徳川家康内野聖陽本多正信近藤正臣も役をこなしていた。
大河というのは視聴者には歴史的先入観があるから配役が意に沿わないと失望する。
でもこの一年、「真田丸」を充分楽しませていただいたので文句を言っては申し訳ない。
点数付ければ70点辺り(^^)。来年も戦国絵巻の「おんな城主 直虎」とても楽しみだ。