隠居の独り言(1586)

3月下旬に風邪を引いた。顧みれば昨年の風邪も3月だった。季節の変わり目の体の変調で
風邪を引くのだろうが、原因を突き詰めても日々の生活に変わったこともなく、よく分からない。
安倍総理の祖父、岸信介元総理は引退後「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と言ったそうで
歳を取った社会の一員としての義務を諌めたが分かっていても風邪ひくのは避けようがない。
一旦引いてしまったら休んでいても薬を飲んでも、熱が出て体がだるくて風邪のフルコースを
経ないと治らない。若い時分は風邪を避けて通った自分だが、これも老化現象の一つだろう。
風邪の怖いのは肺炎という後門の狼がいるからで、年寄りは肺炎が原因で亡くなる人が多い。
現在は肺炎予防の注射があって一応5年間は保つらしいが、それも急性肺炎には効かない。
年寄りにとって怖いのは誤嚥による肺炎で、食べたものが気管支に入って黴菌が増殖すると
肺炎になる。中には急速に呼吸困難になって死に至る。ときどき年寄りが餅を喉に詰まって
誤嚥性肺炎で亡くなる方も多いが餅でなくても、明治昭和の俳人、小説家の久保田万太郎
寿司をつまんで誤嚥で亡くなっている。老人とは今日は元気でも明日は分からない。