隠居の独り言 9

6月2日は、織田信長が本能寺で横死した命日で「人間五十年、下天の内をくらぶれば夢幻の如くなり」と死の直前に敦盛の幸若を舞ったとされるが定かでない。歴史にイフは無いが、信長は桶狭間での突然の豪雨があったことで今川義元の本陣を突いて逆転劇を演じたが雨が無ければ信長は今川義元に滅ぼされたに違いない。もし本能寺の変が無ければ信長が持っていた世界観は17世紀のイギリスのように、七つの海を制覇しただろう。現代では日本語が世界の標準語になっていただろうし、日本のみならず世界歴史は大きく変わったに違いない。ついでながら学生達が英語で苦労することも無かった。誰も興味を抱く織田信長。この人ほど光と影の部分が、はっきりとしている人物はいないが、輝く光の部分は、戦国期以前のそれまでの閉塞感のある既成の体制や権限を崩壊させた先見性や果敢な行動は素晴らしい。世界を見ようとして日本人の意識を向上させた業績は誰よりも素晴らしく、その後の日本史の経歴を見ても彼に勝る世界観を持つ大人物は二度と現れなかった。しかし影の部分は歴史上で無二の酷いものだった。僧俗4000人を殺した比叡山焼き討ち、一向一揆の伊勢長島で約20,000人、越前で約30,000人大虐殺、荒木一族の全員殺戮などの嗜虐的な信長の性格は、後の、ヒトラースターリン毛沢東ポル・ポトなどの20世紀の暴虐者たちと、なんら変わるところが無い。ボクは時代小説が大好きで、司馬遼太郎池波正太郎藤沢周平山本周五郎海音寺潮五郎吉川英治など、歴史小説の面白さは史実を作家のフィクションによって時代背景や登場人物の魅力を出しているのが面白い。