隠居の独り言 117

今の中国はすっかり大国になって、そのうえに覇権主義が重なり、その横暴さは世界の嫌われ者だが、つい一世紀前の清の時代は欧米諸国に食い荒らされ植民地化され領土も資源も巻き上げられ人々は奴隷のように扱われ人心は疲弊し地方では群雄割拠して国としての尊厳も無かった。ロシアにシベリア、沿海州を奪われ、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、ポルトガルにも侵略され「清」は虫食い状態の餌食だった。「清」そのものも満州族漢民族を支配する殖民地国家であり国家意識や愛国心の育くむ下地などなく外国から見れば、だらしない漢民族だったといえる。幕末に高杉晋作が見た上海の風景はイギリス人に鞭で叩かれ、働く現地の人を見て植民地の惨めさを知り国に帰って長州藩の軍隊組織を作り幕府や外国軍と戦っても一歩も引かず、やがて日本の富国強兵に繋がる基礎が出来て、明治の文明開化にと発展していくが歴史を振り返っても国を守る意識や尊厳の無い民族はやがて他国の侵略を受け惨めな思いをすることになる。今の中国(漢民族)もチベットやモンゴル、ウイグル、その他の少数民族を支配して、民族浄化の惨憺たる悪行をしているが、受ける側は力の無さの悔しい思いに苛まれているに違いない。どんな立派な文面や法律があっても国際社会では力が無いと一人前でないと思うべきで、悲しいけれど弱肉強食は人類が世に出現してからの本能的な欲望は人間のサガなのだろう。今の日本がかつての「清末期」に似ているように思えるのはロシアから北方領土、韓国から竹島を占領され、中国からの尖閣の脅しも立ち上がる気概に欠けるのはいかがなものか。憲法改正もままならず周辺諸国からこれだけ侵略受けても能天気な人の多さに驚き、怒りさえ感じる。