隠居の独り言 118

某新聞のコラムに福井県丸岡市が主催する「一筆啓上賞」の入選作が載った。「今までに私をフッてくれた人たちありがとう。おかげでこの息子に会えました」何も失恋の悩みだけでない。人生の吉凶は予測できないし幸運も不幸も努力と運以外ない。6年前にノーベル医学生理学賞を受賞された山中伸弥さんの歩んできた中山さんの人生前半は挫折の連続であったという。失敗は成功の母・・挫折があったからこそ今回の成功がある。山中教授の研究は人間のあらゆる細胞からiPS細胞をつくり先進医療に生かす医学の常識まで変える人類の夢の研究だ。生きるということは煎じ詰めれば細胞の分化が連続し成長の前提があってだが細胞を初期化するという発想は凄いと思う。今の細胞を生まれた時期にまで遡らせ最初から別の臓器に変えられるという手品みたいなものでこれが実用化されれば全ての病気に応用され難病治療は勿論のこと、失った器官も再生されるというから医学がどこまで進歩するのか想像外だ。老人の悩みの、失った歯も再生され、砂漠化した毛髪も甦り、弱った視力が元に戻り、顔のしみや皺も全て消えて若返る。近未来に起こりうるガンや脳疾患等の病も恐れることはない。創造の神は人があまり長生きすると悪知恵や性格が変わりろくなことがないから命を長くても百歳位までと定められたが山中教授の研究次第では神の領域にまで入り込んでしまう。でも我々にとっては嬉しい反面、少子高齢化社会がますます顕著になり元気な年寄りが増え社会の仕組みも変わるのは新しい命も世界も止まって閉塞感が増してくるのは良くない。過ぎた人生の歩みはiPS細胞のように再生は不可能だが、出来ればもう一度、人生を初期化したいと願う。