やせ蛙負けるな一茶これにあり

これには「蛙たたかひ見にまかる」と前え書きがあり、これは
求愛交尾する蛙合戦のことで娘一人に婿十人で弱い雄蛙は仲間に
入れてもらえない、そのはみ出しに送る声援は一茶の温かさを感ずる。
「やれ打つな蝿が手をする足をする」小さな動物にも愛情を込める
一茶の人間味にはホットするけれど自らの不幸や不運をバネにして
創作意欲を最後まで持ち続けた彼の偉業にはほとほに頭が下がる。
ただ彼の作品は私たちと同じ目の高さにあるのが魅力だが家庭的には
利己的で自惚れが強く、それはともすれば芸術家の持つ業なのかも知れない。
大火で類焼し仮住まいするうち今日11/19日中風の発作で亡くなったと云う。
64才だった。「たらいから たらいに移る ちんぷんかんぷん」彼らしい辞世である。