十二月の苺

harimaya2004-12-11

街のケーキ屋さんはクリスマスに向けて稼ぎ時だが
イチゴも今やハウス栽培で何時でも食べられるように
なった。この季節になると巌谷小波の童話を思い出す。
「お雪は継母と意地悪な姉に十二月の寒い日に苺が
 食べたいと言われ極寒の山を彷徨う。そこへ十二月の
 神様が現れ事情を聞き六月の神様を呼ぶとたちまちに
 山は新緑、苺を摘んで家に帰ると、喜ばれるがすぐに
 数が少ないと叱られる。母と姉は沢山採って来ると山へ
 行ったが帰らず、次の日にお雪は二人の凍死体を見る」
孫たちに聞かせる童話の一つですが、季節感の薄い昨今に
四季の移ろい、モノの大切さや人情味を教える、いい作品だと思う。
巌谷小波(1870-1933)は明治の文明開化の波の中で児童文学に
大いに貢献し小学校教育にも力を尽くした偉大な童話作家だった。