小僧(30)

電力会の大物、松永安左ェ門は「人間は商売をする為でも
金を貯める為にも、政治をする為にも生まれたものでない。
人として第一に自己の生活を立てることが最も大切である。
決して急いだりせず今日のことは片付け明後日のことに手を
出したりするようでは足元から崩れててしまう」
昭和20-30年代の混乱期、高度成長期に小僧を経験した私にとって
苦労も多かったけれど青春時代の体験も言い尽くせない感動もあった。
喜びも悲しみも過ぎれば夢のようだが人生の内で最も中身の濃い年代で
あったことは出会った人々に感謝の気持ちとお礼の言葉を述べたいと思う。
退院して二年、無我夢中に過ごし社長への約束も果たして会社を辞した。
貯金、退職金合わせて約20万円、鳥越の裏長屋の一室を借り裁断板と仕上げ機を
置き中古のオートバイを買ってスタートした。27才の11/15日の巣立ちだった。


小僧の連載はこれで終わらせていただきます。過ぎた日々の一部だったですが
いつかまた書けなかったことや其の後の事も機会があれば綴りたいと思っています。
ありがとうございました。