小僧(ヨイトマケ)

会社の建て替え工事で、とても面白かったのはヨイトマケだった。
家を建てるとき最初に行うのは、土地造成の地固めだが整地をして
土台を作るために溝を掘り、その溝の中に丸石を埋めて地固めをし、
コンクリートを流すまでのお膳立ての作業がいわゆるヨイトマケだが
移動式の櫓を組みその最上部から何本かの綱を付けた太い丸太を人夫たちが
櫓に輪を組んで丸石めがけてドスン、ドスンと何度も地面に落としていく仕事は
鳶のカシラの合図で一斉にするが、面白いのはカシラの掛け声の唄のことだ。
その唄は七七調のもので例えば「おっとちゃんとおっかちゃんが、夜の夜中に
子作りはげんで、エンヤコーラ!」ドスン!とこんな調子でけっこう色っぽい
内容のセリフをうまく臨機応変に唄い、人夫も肝っ玉かあさんが多く相当に卑猥な
ことも唱和して楽しげに汗を流していた。野次馬も一緒になって楽しんだヨイトマケ
今はパワーショベルやブルドーザーの機械化で過去の遺物となってしまったのが惜しい。
のちに三輪明弘が作曲し歌ったが彼の母上はヨイトマケの作業して子供を育てられたとか・・
赤ん坊を背負い、小さい子連れの人夫のお母さんもいたが昔も女は強かった。