狸と狐

今は人間社会も情報化時代になって狐狸(こり)の出番も無くなったが
江戸の昔はよく化かされたらしい。若い衆が土手を歩いていると川の舟から
「お兄さん寄ってらっしゃい」と娘が呼んでいる。舟に招かれて差しつ差されつ
その娘とアワヤというときに突然舟は泥舟に・・狸はユーモラスに化かすそうな。
狸はひょうきんもので化かすよりも人をビックリさせる愉快犯なのかも知れない。
分福茶釜」「かちかち山」「証誠寺」などチャメケたっぷりな狸に好感がもてる。
そこへくると狐は復讐心旺盛で、野次喜多道中など狐にイタヅラに石を投げると
財布を掏られたり、一休さんの物語に出てくる和尚さんのお酒やお土産を盗んだり、
執念深いのが狐で、さっぱりしているのが狸で、化かしかたにも個性があったようだ。
狐は信仰の対象とされて「花街」では芸事、知恵、心の痛みなどに手を合わせたそうな。
最近では人の心の中に悪い狐狸が住み着き、荒れた果てた人間社会をとても杞憂する。