春宵一刻値千金

harimaya2005-04-15

寒からず暑からず、春の夕べのひとときは素晴らしい。
「春宵一刻値千金、花に清香あり、月に陰あり・・」は
中国の「春夜詩」だが、時の流れの大切さと儚なさは
年を重ねるごとに、実感として無常観にとらわれる。
花の散るさまは、その題材として平安の昔から人々に
用いられ、愛でられて歌に詠まれて歴史を美しくした。
江戸の花見は終わったが新芽が来春に備えている。
昔、吉野の桜を愛した西行。室町の桜を愛した足利義満
醍醐の桜を愛した秀吉。そして花に浮かれた市井の人々。
日本の歴史は桜抜きでは考えられないが、そのときどきを
春宵一刻値千金を思い人生を楽しみ哀しんだに違いない。


吉野山、こぞ(去年)のしおりの道かへて 
まだ見ぬかたの 花をたずねん」  西行