いずれ菖蒲か杜若

harimaya2005-05-21

今、栃木の「花乃江の郷」は菖蒲が美しい。
園内は、春たけなわの野の花が咲き乱れて
まさに百花繚乱の風情が楽しめる。
涼しい森の中には、エビネやランの仲間が、
誰かを待つように、ひっそりと佇んでいた。
菖蒲も杜若も美女の代名詞だが花の織りなす
群落は、爽やかな五月の初夏を演出している。
源平の時代、源三位頼政は怪獣のヌエを退治して
朝廷から恩賞に「あやめ」と云う美女を賜る。
そのときに同じ衣装の十二人の美女のなかから
「あやめ」を選びだせといわれて彼は迷う。
「五月雨で、沢のほとりの水越えて
 いずれあやめと 引きぞわずらう」
見事な歌に「あやめ」を賜る話は有名だ。
のちに頼政は「宇治平等院の変」で平清盛
討たれるが、武人として、和歌の名人として
菖蒲のような美しい生き様に感銘を覚える。