内憂外患(36)

かつて上映された「ローマの休日」はオードリーヘップバーン演ずる王女と
グレゴリーベック演ずる新聞記者とのラヴストーリーだが身分違いの出会いの
物語は、現代のおとぎ話のようにローマの美しい風景と共にもてはやされて
そのロマンは思い出しても素晴らしい映画だった。あれから50年の歳月が
流れたが、そのおとぎ話のような素敵な現実が紅葉の美しい東京で見られた。
紀宮さま黒田慶樹さんとの結婚式は、皇居を離れて帝国ホテルでの質素な
挙式を経て一般市民になられた黒田清子さんのお姿は美しくて素晴らしい。
東洋のプリンセスが役所に勤める一人の男性と結ばれ小さな家庭を営むため
笑顔でお城を後にするストーリーは、海外のメディアにもロマンティックな
イメージで伝えられたそうだ。「日本のプリンセス、愛のため皇室を離れる」
「皇女と官僚、ゴールに至る愛の物語」「お姫さま、アパートへ」などなど。
西洋には「シンデレラ」「森の中の美女」など王室を舞台にした児童文学が
多いが、子供も大人も夢や憧れの象徴がお城の中に包まれていたのだろう。
今では世界的にも王室を持つ国が少なくなって関心の高さは大きかったが
世界中からの日本の印象にはプリンセス・サヤカが最大の功績だったのは
言うまでも無いが、皇室を持てた日本人の幸せを感じた慶事だった。