隠居の独り言(250)

正月三が日もとうに過ぎて今更でもないが、暮れに足を少し痛めてこの年末年始は
いつもの正月と違い、家に篭ってノンベンダラリと過ごしたがたまにはいいだろう。
家の中にいれば否応なく孫の世話とテレビ桟敷くらいしか用が無く、考えてみれば
よくもまぁテレビを見たものだ。見たついでに正月番組をひとつふたつ感じた事は
晦日のNHK紅白歌合戦は歴代のワーストに入るくらい評判が悪かったらしいが
最低の裸問題の品位の無さもさることながらいっそのこと、これを潮に廃止検討も
いいのではないかな。新聞報道によると瞬間視聴率の良かったのはトリひとつ前の
SMAP「ありがとう」だけだったらしいが、次回からSMAP特集でもいいかも。
年末のもうひとつの風物詩の「レコード大賞」も、いつものことだが今回も本命の
氷川きよしの「一剣」が前評判で決まっているのに勿体ぶったセレモニーみたいで
盛り上がりが湧かないのは仕方がないところかな。年が明けた正月番組はドラマや
特集物は孫が大勢いるので落ち着いて見る機会はまるで無いが、3日の夕方に見た
横峰さくらと武田鉄也の対談はとても良かった。横峰一家の物語はゴルフを育てる
執着と金銭感覚を養う教育はたいしたもので横峰さくらがこれほど有名になっても
コンビニでアルバイトをして「もったいない」の気持ちを今も養っているという。
それにしても正月のバラエティー番組は次から次へと考えるほうも出演するほうも
見るほうも、いつかの流行言葉の一億総白痴化のように笑いこけて時間が過ぎる。
ハナシが変わるが年末のイラク前大統領の処刑シーンの映像はショックを受けた。
死刑の是非や政治的な事はさておき、残酷な映像を流すこと自体が日本人の性に
合わないし、ましてや断末魔の声まで録音するとはどのような神経なのだろうか。
最近の風潮の人の命を粗末にする象徴的な事柄ともいえる気がしてならない。
それと呼応するかのように起きた東京渋谷区の歯科医宅のバラバラ事件は原因が
受験のストレスとか兄妹仲の悪さとかいっても、その犯行の手口は人間性の域を
遥かに脱している。今年の初めはTV漬けの正月だったけれど思うこと多々あり、
命の尊厳を問う2007年は人情の曲がり角なのだろう。