隠居の独り言(289)

映画のアカデミー賞で「硫黄島からの手紙」の渡辺謙も「バベル」の菊池凛子
受賞には叶わなかったが映画文化の世界に凛と輝いたのは誰も認めるところだ。
賞にノミネートされて評判になっただけでも良し、としなければと、ご両人も
それほど残念がっていないところもまた清々しい。でも所詮アカデミー賞なんて
アメリカの英語圏の映画の祭典で日本の言葉や文化の良さなんて審査員に分かる
はずがなく今までに受賞したのはアニメの「千と千尋の神隠し」や「羅生門」の
ストーリーの面白さ、坂本龍一の音楽が入ったぐらいで日本語の意味や語彙など
英語を母国語にしている人たちに価値を認めてもらうなんてはじめから無理だ。
今回はせめて「硫黄島」で日本軍将兵の勇敢と誰にも家族愛がある事の大切さを
アメリカ人が評価したのは賞を取った事よりも金字塔のように輝いている。
そもそもハリウッドはアメリカ映画の本場で、その作品も西部劇の華やかなりし
時代から、どの作品も自国民の白人の正義を強調して有色人種のインディアンや
メキシコ等の近隣諸国を邪悪と決め付け迫害が正しいとばかりの映画作りだった。
西部劇も戦争映画もロマンティックな恋愛物だって植民地主義や人種差別の理が
アメリカ映画の基礎になってハリウッドの繁栄を築いてきた。アメリカ建国史
調べればキレイゴトよりも国家的な騙しや血塗られた部分が多く、その倫理観を
反映したものを映画の物語で徹底的に正は白人系で対の悪はあくまで非白人系で
なければならない。俳優の価値もアメリカ人から見れば日本の吉永小百合が美人
でもマリリンモンローに叶わないし三船敏郎だってマーロンブランドの敵じゃない。
日本人は寛容だ。ジェームスディーンも好きだったし、ヨン様にも熱中している。
けれどアカデミー賞はあくまでアメリカ文化の一つだ。