桜の花は家の近くでも神社の境内でも
歩けばいたるところ咲いているけれど
私のこだわりは何と言っても墨堤の桜。
桜花はここでないと見た気がしない。
上京を間近に控えた中学校卒業の頃に
毎日のように滝廉太郎の「花」を歌い
少年の夢は墨堤の桜に心を馳せていた。
東京に来て休日に真っ先に走ったのは
言うまでもない。あれから60年が過ぎ
墨堤の姿は随分と変わってしまった。
桜の木を覆うように首都高速6号線が
走り、土手はコンクリートの遊歩道が
出来て「花」のイメージは遠くになった。
それでも墨堤に立つと自然にメロディーが口走る。
♪春のうららの隅田川、上り下りの舟人が、かいのしずくも花と散る・・
