隠居の独り言(310)

今月は自分の誕生月だがだんだんと高砂人形が似合う年齢になってきた。
人形は夫婦和合の象徴だが爺さんが熊手を持ち婆さんが箒を持っている。
おまえ百まで(掃くまで)わしゃ九十九まで(熊手)の語呂合わせだが
長生きをして妻より少しだけ早く逝くのが理想的な生き方に違いない。
でも長生きをしたから幸せとは限らない。お金、健康、趣味は無論だが
高砂人形のように夫婦の穏やかな暮らしが一番の大切な幸せの原点だ。
某新聞の夫婦どちらかが65歳以上の老夫婦の結婚満足度を見てみると
満足の1位は会話が多いとのことらしい。逆に熟年離婚や退職金離婚は
会話が少なかったという結果が出ている。歳を取って夫婦だけになった
ときに長年暮らして、互いに何でも知っているからと「あ」といえば
「ん」で分かるだろうと信頼しきっているつもりがいちばんいけない。
老後の夫婦生活は阿吽の呼吸が通用すると考えるのが最も危険ではないか。
夫婦といえども別個の人格を持った人間同士なのだから会話を持つことは
絶対不可欠のコミュニケーションでこれを意識して作り上げていかないと
生活は味気なく互いの幸せ感は遠いものになる。たとえば食事のときに
TVを見ながら黙々と食べている人を見かけるが、あれはいただけない。
夫婦だけの時はまずTVを消す。「今日のご飯は美味しいね」から始まって
どんな話題でもいいから話をして笑いを持つ。それにはある程度の予備も
必要だが考えるのも学習でたまには相手にお世辞の一つも言ってみよう。
日本人の平均寿命が延び人生80年時代ということはそれだけ夫婦の時間が
延びたわけで会話は老後の大切な糧にしたいと思う。