蓄音機

harimaya2008-05-30

下田の古い喫茶店で陳列された骨董品の中に
蓄音機があった。ビクターの商標の朝顔型で
SP盤78回転式のレコードが載っている。
昭和初期に生まれた自分の記憶では、家にも
これが有って蓄音機を「チコンキ」と言った。
スピーカーは、これほど大きくはなかったが
一曲ずつの手回し式で父が掛いて聴いていた。
レコードは八角の入れ物だったのも懐かしい。
戦中は軽音楽が敵性音楽という事で禁止され
物置に入れられた。骨董品の陳列にあるのはやがては廃語になり忘れられていくだろう。
戦後間もなくの音楽喫茶には蓄音機があって音楽を楽しんだが当時のSPレコード盤は
一回ごとに針を取替えねばならず店員さんが付きっ切りで、あの面倒な作業をしていた。
当時流行った歌に「小さな喫茶店」があるが、喫茶店でコーヒーを飲み音楽を聴くのは
戦争の苦しみから解放された、まさに戦後昭和モダンの文明開化の象徴でもあった。
♪それは去年のことだった、星の綺麗な宵だった。二人で歩いた思い出の小道だよ・・