隠居の独り言(538)

NHK大河ドラマのストーリーは篤姫宮崎あおい)は家定(堺雅人)との
婚礼を終えて政治的、政略的に落ち着いた段階だったが、その頃1857年の
近隣の外国とりわけ中国(清)の情勢はどうだったのだろうか。1840年
アヘン戦争で清はイギリスに負け多額の賠償金と香港の割譲を認めさせられ
追加に治外法権関税自主権の放棄などの恥辱的な条約を結ばされたうえに
その後にも何かと要求はエスカレートして1857年には「アロー事件」となり
イギリスの他にアメリカ・フランス・ロシアも加わり北京条約で清国は事実上
欧米の植民地となった。(そのとき沿海州がロシアに強奪された)清の悲劇は
人民達は奴隷のように欧米諸国に搾取され其の後の変遷を経て国は亡んでいく。
アジアの大国の清の悲しさを知るにつけアメリカの黒船来航で即刻の開国論を
唱えた阿部老中(草刈正雄島津斉彬高橋英樹)は欧米の圧倒的な武力から
日本を守るべく幕府の金科玉条だった鎖国をやめ開国を決断したに違いない。
幕府がアメリカとの交渉をイギリスより先行させた理由にアヘン問題があって
密輸が行なわないという条項を入れ其の後の各国からの流入を阻止出来たのは
隠れた幕閣の英知を垣間見る事ができる。ドラマは、幕府はアメリ使節団と
下田条約を締結し開国の一歩を歩き始める。この未曾有の難局を乗り切るため
家定に替わり次期将軍の決定が急がれるが、斉彬と共に慶喜平岳大)擁立の
中心的存在だった老中・阿部正弘が39歳の若さで急逝するという事態の背景は
持病の脚気か、外交の激務による過労死か、暗殺の噂も流れたが真相は不明だ。
歴史は後になって考えればもどかしい部分が多いのが現実で、この時点でも
次期将軍候補の大勢は慶喜よりも紀州藩主・慶福(松田翔太)で斉彬や篤姫
思惑は次第に遠のいていく。開国という生みの苦しみなのだろうか・・