隠居の独り言(637)

黒人のオバマアメリカ新大統領に就任し人類史上の大転換期がやってきた。
その節目に自分が生きる事の幸せを思う。生まれた1930年代には人種差別が
歴然として、白人による有色人種への植民地支配は当たり前の風潮であったし
南アフリカアパルトヘイトやオーストラリアの白豪主義などの国を挙げての
国策や有色人への蔑視、職業選択の差別など日常茶飯事の社会が厳存していた。
第一次世界大戦後の国際連盟設立の時、日本が人種差別撤廃条項を提案したが
アメリカの反対で闇に葬られた苦い事もあり日米の争いの遠因となっている。
民主党大統領候補の戦いで最初は優勢だったヒラリー・クリントンを逆転して
黒人の米国大統領が初めて誕生するなんて僅か2年前は誰も予想出来なかった。
先週も白人警官による黒人射殺事件でデモに発展しているのは病根の深さを
教えられるが、アメリカには未だに白人専用のクラブや乗り物があるそうで、
そんな人種差別の壁を乗り越えてのオバマ新大統領の前途多難を感じさせる。
21世紀に入って政治も経済も予測出来ない事ばかりで100年に一度の世界の
アメリカ発の突然の金融恐慌は新政権にとっては最優先の課題は景気対策で、
その柱に個人消費を刺激するために、一世帯当たり1000?など大型減税を
実施する点と環境・エネルギー分野に公共投資を集中させ300万人の雇用を
創出させる方針だという。今回の金融危機を招いたアメリカによって全世界が
同時に沈んでしまった事はいかにアメリカという国家の存在感が大きいかを
改めて実感させられたが新大統領の実行力に頼る以外に世界は救われないのか。
今日の世界はまさにオバマのフレーズのチェンジだが、期待が大きすぎるのも
考えもので地球規模の人種・貧富・宗教など長い間に積み重ねてきた習慣は
オバマひとりで変えられるものでなく、まして世界はアメリカ一国ではない。
日本もコップの中の小さな争いをしている場合じゃない。未曾有の景気不況に
たいした有効な手段が取られず与野党が足の引っ張り合いに終始しているのは
なんとも情けない。