隠居の独り言(665)

民主党代表・小沢一郎の政治資金規制法違反事件で秘書が起訴された事件簿は
小沢一郎の答弁もうやむやだが、政治とカネとは切っても切れない絡み合いを
今更のように思い知らせてくれる。政治家や権力者に不可欠なのは三つのバン、
地盤、看板、金番だが、それは現代も戦国の世も変わらない。NHK大河ドラマ
天地人」は謙信(阿部寛)の跡目相続をめぐる争いは、はっきりとした謙信の
意思表明の遺言が無かったために多くの人を巻き込み、それぞれの欲望も絡んで
家臣たちは止めどない泥沼の様相に嵌まり込んでいく。景勝派(北村一輝)と
景虎派(玉山鉄二)の二派に分かれた人数や兵力にはそれほどの大差は無いが、
兼続(妻夫木聡)の活躍で春日山城を占拠し、兵糧までも確保した彼我の差は、
謙信が没した時に春日山の金蔵には三万両に余る軍資金があり、それをいち早く
景勝側が抑えたことだ。一方の景虎側は北條家の後ろ盾があり地盤・看板のある
名門出身の勢力といえども軍資金の大きな差は決定的に敗けを意味していた。
甲斐の武田勝頼市川笑也)は4年前に織田信長(吉川晃司)に長篠の合戦
大敗を喫しているといえど軍事力はいまだに強大であり、その武田軍が北條軍と
共同戦線で信越国境に迫っていた。そこで兼続は武田軍と和睦する策を考える。
長年の宿敵である武田には景勝や重臣は猛反発するが兼続は景勝を説得させる。
兼続は泉沢(東幹久)与七(小泉孝太郎)らと武田重臣高坂弾正(大出俊)に
会い交渉を成立させるが条件は、武田に?万両と上州の上杉領を進上し、上杉は
勝頼の妹・菊姫比嘉愛未)を景勝の正室に迎えるという案で進められ和議が
成立する。しかし武田にとって上杉と手を組むのは北條を敵にまわす事であり
景勝には多大な利益をもたらした一方、武田家滅亡の導火線となってしまう。
食うか食われるかの戦国武将の駆け引きの綾を見る思いでドラマは興味深い。