隠居の独り言(688)

民主党の新党首は鳩山由紀夫に決まり、これで衆院選麻生太郎との一騎打ちで
奇しくも両者の祖父の戦後の鳩山一郎吉田茂が政権争いの時と様相が似ている。
これで衆院選の舞台が整った。自民か民主か、選挙はドラマであり、一寸先は闇!
勝てば官軍、負ければ賊軍、一輪咲いても花は花、咲かねば世間は見向きもしない。
そのうえ、何故か落選者ばかりに警察当局が選挙違反の容疑で玄関の戸を叩く・・
閑話休題、このほど国会議員の世襲の是非が次の選挙の論点として浮上している。
政治家の世襲問題は古典芸能の歌舞伎・茶道・華道等の礼法世界ならいざ知らず
国家をリードする国会議員が世襲では古い観念に囚われて世道を見失う恐れがあり、
世襲議員という人は大体が苦労知らずのボンボンで庶民の苦労が分かるはずがない。
現在の小選挙区制の欠点のひとつに親が引退して息子を後継者に譲れば新しい人に
競争参入の機会を奪う事になり優秀な人材活用が損なわれ大きな国家損失となる。
人には競争を強いながら無競争状態で華麗な人生をスタートさせる姿勢はおかしい!
このほど世襲の鴻池官房副長官が女性スキャンダルで辞任したが、それも国会議員に
与えられる新幹線の無料パスを利用したというから、なんとセコイ話で情けない!
これではご先祖の鴻池が泣く。江戸期に続いた住友・鴻池・三井・島田等の豪商は
生活は質素で商いは息子に継がせず娘に優秀な番頭を養子にして隆盛を維持したし
戦後の松下・トヨタ・ホンダ・ソニーも創業者一族以外から経営者を出している。
会社の世襲社長が放漫経営で潰してしまった例は多いが、国家の放漫経営は絶対に
許されない。明治に夜明けを迎えた日本も時が経つにつれ軍部の暴走が突っ走った。
それを世襲の集まりの貴族院や、総理に就任した近衛文麿も止められなかったのは
強い志と弛まざる信念の欠落であり、その不甲斐無さは昭和の歴史の汚点といえる。
鳩山由紀夫は新党首になるや早速「友愛外交」と訴え、やはり世襲かと暗くなった。
軍拡を続ける国、島を不法占拠の国、拉致する国に友愛が通じると思っているのか。
戦後も二、三世代が過ぎ、御身大切の弱腰外交や官僚や日教組の言いなりの政策は
国を亡ぼしかねない。気迫に欠ける世襲議員は、そろそろ卒業の時期が来ている。